ジュニパーの新エッジ・ルータはCisco定番製品を狙い撃ち

2003/11/11

ジュニパーネットワークスのエッジ・ルータ「M7i」(左)と「M10i」。

 ジュニパーネットワークスは、キャリアや大企業向けのエッジ・ルータの新製品「M7i」「M10i」を近く出荷すると発表した。エッジ部分でのアクセスポイントとして広く利用されている米シスコシステムズのルータ「Cisco7200/7500」の置き換えを提案する製品で、性能や価格など「国内数百億円といわれるCisco7200/7500のリプレース市場」(ジュニパーネットワークス 代表取締役 大須賀雅憲氏)を狙い撃ちにする。

 企業のアクセスポイントなどの用途で「ほぼ市場を独占してきた」というCisco7200/7500。しかし、大須賀氏によると、Cisco7200/7500はCPUによる処理のため処理能力が最高1〜2Mppsと低く、高速回線の利用が増えている企業やキャリアではボトルネックになっている。上位機種へのアップグレードも可能だが、「機能と価格がトレードオフの関係で、高機能で低価格を達成できない」(大須賀氏)という。

 Cisco7200のリプレースを狙うM7iは、最大16Mppsを実現。キャリアやサービスプロバイダが幅広いサービスを提供できるよう豊富なIP/MPLS機能を実装した。また、NATやファイアウォール、IPSecなどのセキュリティ機能をマザーボードに搭載。ASICを採用し、高速処理を実現しているという。インターフェイスは標準で2ポートのファースト・イーサネットまたは、1ポートのギガビット・イーサネットを搭載する。4つのPIC(物理インターフェイスカード)スロットがあり、提供するサービスにあわせて、PICを追加できるようになっている。製品名に付く“i”は「Integrated ASIC」の意味。従来機種が3個のASICを使っていたのに対し、M7i、M10iではASICを1個に統合した。

米ジュニパーネットワークスのアジア太平洋地域 エンジニアリング担当ヴァイスプレジデント アンドリュー・カワード氏

 M10iはCisco7500の置き換えを狙うエッジ・ルータ。ハードウェアによる完全冗長化が特徴で、米ジュニパーネットワークスのアジア太平洋地域 エンジニアリング担当ヴァイスプレジデント アンドリュー・カワード(Andrew Coward)氏の説明では、「ルーティング・エンジンにどんなトラブルが起きても、フォワーディング・エンジンだけは稼働し続ける」という。ハードウェアによる完全冗長化を行いながらも製品サイズは5Uサイズに抑え、8個のPICを搭載できるようにした。

 M7i、M10iともジュニパーのネットワークOS、「JUNOS」を搭載。L2 VPNやL2 Virtual Circuit、L2.5 VPN、VPLS、IPSec over MPLSなどのVPNアプリケーションに対応する。価格は、M7i、M10iとも数百万円台で、対抗機種のCisco7200/7500とほぼ同額。しかし、「それをどこまで値引きできるか」(大須賀氏)と、機能面のアピールで勝負するという。ただ、ジュニパーはキャリア向けの販売が多かっただけに、「企業ユーザー向けの販売はわれわれの課題」(大須賀氏)という認識だ。

(編集局 垣内郁栄)

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ジュニパーネットワークスの発表資料

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