[OracleWorld Tokyo開催]
Oracle 10gでシステム管理者が失業!?

2003/12/19

 Oracle 10gでは、管理ツールのOracle Enterprise Manager 10gを使うことで、運用管理が自動化され、作業が格段に楽になるとオラクルは主張している。では、具体的にシステム管理者のどの作業がどう楽になるのか。「ドクターDBA」こと米オラクルの製品ストラテジー担当バイスプレジデント ケン・ジェイコブス(Ken Jacobs)氏が「OracleWorld Tokyo」(主催:日本オラクル)でデモンストレーションを交えながら説明した。

Oracle 10gの管理機能をデモンストレーションする米オラクルの製品ストラテジー担当バイスプレジデント ケン・ジェイコブス氏(右)

 ジェイコブス氏は「グリッドで本当にいいのかという疑問が顧客にある。その疑問に答えたい」として、「どのようにグリッドを管理すればいいのか」という質問を提示した。答えはEnterprise Manager 10gの利用。Enterprise Manager 10gはデータベースやアプリケーションサーバはもちろん、Webアプリケーションも管理できる。Webサイトの1つ1つに対して、パフォーマンスを計測可能だ。「Webアプリケーションをオブジェクトとして管理できる」(ジェイコブス氏)といい、グリッドのすべての構成要素をモニタリングできることを強調した。

 「グリッドのインストール、ソフトの展開はどうするのか」という質問に対してジェイコブス氏は、「すべてグリッドが自動で行う」と明言。Oracle 10g自体のインストールはCDが1枚、20分程度で完了するという。従来、オラクルのデータベースでは6〜7枚のCDを使って数時間かけてインストールをしていたので、作業時間は驚異的に短くなったことになる。実際、ジェイコブス氏が実演したOracle Database 10gのインストールは、10分程度で完了した。サーバの事前チェックや、推奨する設定が組み込まれているので、インストール後にすぐに利用開始できるという。

 ソフトの展開も難しくない。複数サーバを使ってグリッドを構築していても、すべてのサーバに対してインストール作業を行う必要はない。「クローニング」技術を使うことで、1つのサーバに対してインストール作業を行うだけで、すべてのサーバに同一の環境がセットアップされる。Oracle 10gへのパッチ適用も、Enterprise Manager 10gがシステムに必要なパッチを自動検出し、管理者に知らせる。サーバAが必要なパッチを検出し、サーバBに適用、次にサーバBが検出し、サーバAに適用する、という仕組みでパッチを相互に適用するため、2台のサーバでグリッドを構築している場合でも、システムをダウンさせずにアップグレードできる。ダウンタイムなしのアップグレードはOracle 10gのほかにOSでも可能だという。

 ジェイコブス氏は、Oracle 10g上で稼働するオンラインバンキングを使ったデモを披露した。Enterprise Manager 10gは、Webアプリケーションを実際に動作させて、エンドユーザーが体感しているレスポンスタイムを再現できる。その結果を基にシステムの障害を検出する。ジェイコブス氏が示したデモでは、オンラインバンキングで使っているEJBのパフォーマンスが低下していることが分かった。サーバのリソースをリアルタイムでEJBに割り当てることで、障害を解決した。Oracle Database 10gにはデータベースを診断し、低下したパフォーマンスをポリシーベースで修復する「Automatic Database Diagnostic Monitor」(ADDM:アダム)という機能があり、パフォーマンスに問題がある場合に、その原因を解析し、解決策を示してくれるという。

 ジェイコブス氏は「Oracle 10gがシステム管理者に与える影響は?」という質問に対して、「Oracle 10gがいくら優秀でも管理者が用済みとなって失業することはない」と断言。「管理者は常にアラートを気にすることがなくなり、もっと生産的な仕事に集中できるようになる。細かいチューニングなどをしなくても、よりビジネスにインパクトを与える課題に取り組むことができる」として、「失業するどころか、より大きなテクノロジを対象に仕事ができるようになる」と述べた。


(編集局 垣内郁栄)

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日本オラクル

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