F5が新BIG-IPを今年半ば出荷、モジュラー形式対応へ

2004/1/24

 F5ネットワークスジャパンは同社のロードバランサ製品「BIG-IPシリーズ」のアーキテクチャを変更し、SSL-VPNなどの機能をモジュラー形式でソフトとして追加できる新製品を2004年中ごろに出荷することを明らかにした。必要な機能を段階的に追加できることで、スタートアップ時には低コストでBIG-IPを導入し、システムの成長に合わせてスケールアウト型で「柔軟なシステム構築ができるようになる」とF5 代表取締役社長 ティム グッドウィン(Tim Goodwin)氏は強調した。

F5ネットワークスジャパン 代表取締役社長 ティム グッドウィン氏

 既存のBIG-IPシリーズも販売は続けられ、新製品との互換性が保たれる。既存製品に対してモジュラー形式で機能を追加できるようにもする予定。モジュラー形式で提供する機能は、SSL-VPNのほかに、IPv6、帯域管理・制御、HTTP1.1の圧縮などを予定している。BIG-IPは基本機能も向上させSSLアクセラレーション、スループットとも既存製品の数倍にパフォーマンスを高める。

 F5はアプリケーションレベルのセキュリティを高めるゲートウェイ製品「アプリケーション・セキュリティ・ゲートウェイ」も2004年後半に出荷する予定だ。従来のファイアウォールの代替品との位置付け。F5のトラフィック管理技術である「UIE」(Universal Inspection Engine)を応用し、レイヤ7のパケットをアプリケーションレベルまで確認することができる。パケットのデータを16KB分までチェックすることが可能で、アプリケーションを攻撃する不正なアクセスやコンピュータウィルスをゲートウェイ部分でブロックする。グッドウィン氏によると、他社製品ではHTTPヘッダの一部しか確認できず、アプリケーションへの攻撃を防げなかった。

 新機能はゲートウェイ製品として単体で発売するほかに、機能だけをモジュラー形式にしてBIG-IPに追加できるようにする計画もある。将来的には16KBの限度をなくし、トラフィックのデータのすべてを判断する「フルプロキシ」機能を搭載する予定。パケットではなく、データとしてトラフィックを捉えることで、これまで見つけにくかった攻撃も発見できるようになるという。

 F5は2003年9月、アプライアンス製品「FirePass」でSSL-VPN市場に参入した。発売後3カ月で50台以上を販売。F5への問い合わせが増えているといい、2004年は合わせて600台の販売を目指す。グッドウィン氏は「SSL-VPN市場は熟していない。マーケットシェアで1位を狙う」とトップ獲得を宣言した。BIG-IPも2003年の1600台から2000台まで販売を伸ばす目標で、FirePassと合わせて計2600台、前年比60%の成長を目指す。社員もサポートエンジニアを中心に現状の25人から35人に増やす計画だ。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
F5ネットワークスジャパン

[関連記事]
東芝情報機器、インターネットVPNで楽になったのは (@ITNews)
完全なクライアントレスを実現、F5がSSL-VPN参入 (@ITNews)
IPsec VPNかSSL-VPNか、それが問題だ (@ITNews)
SSL-VPN時代にもIPSecは残る、ノーテル (@ITNews)
「新技術を先取りする」、F5が新戦略 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)