価格性能比が同じ? ItaniumとXeonの微妙な関係

2004/1/24

 インテルはItaniumプロセッサなど同社エンタープライズ事業の2004年の製品戦略を発表した。同社エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部 本部長 町田栄作氏は「CPUパワーだけでなくトータルソリューションをユーザーに提供する」と語り、他ベンダなどと協力し、インテルのテクノロジがビジネスの現場で最大限生かされる環境作りを進める考えを示した。

インテル エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部 本部長 町田栄作氏

 町田氏は2003年を「Itaniumプロセッサ・ファミリの飛躍の年だった」と位置付けたうえで、「エンタープライズとハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野でRISCからIAサーバへの移行が顕著だ」と指摘した。2003年はItaniumプロセッサに対応するアプリケーションが1000種類以上と、2002年の3倍以上に増えたことを説明し、「ソフト、サービスベンダ、システム・インテグレータとの協業がうまくいっている」と強調した。Itanium 2プロセッサについては現在6つのCPUを開発していて、今後3年超で約7倍の性能向上を見込んでいる。Itaniumは、いわゆる「ムーアの法則」の2倍以上のスピードで性能が向上しているという。

 2003年には32ビットアプリケーションとの互換性機能を持つ64ビットプロセッサ「AMD Opteron」が登場した。インテルもItanium上での32ビットアプリケーションの実行には積極的で、現在はWindows OSを搭載したItaniumサーバで32ビットアプリケーションをソフト的にエミュレーションする「IA-32 Execution Layer」をマイクロソフトに提供中。インテル エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部 プラットフォーム マーケティング部長 小山信寛氏はRed Hat向けIA-32 Execution Layerを2004年中に提供開始することを明らかにした。SuSE LINUX向けIA-32 Execution Layerも計画しているという。現状、Itanium上でIA-32 Execution Layerを使うと1.5GHz XeonプロセッサMPと同等の性能を出すことができるが、将来はその性能を高めてItaniumが持つ性能の50〜70%を実現できるようにするという。

 価格性能比で見た場合、64ビットプロセッサItaniumと、32ビットプロセッサXeonの差が縮まる流れが2004年は加速しそうだ。インテルはItaniumとXeonの価格性能比が2007年にも同一なり、それ以降は価格性能比でItaniumがXeonに対して優位になると説明。すでにトランザクション処理に限ればItaniumがXeonと比較して、価格性能比で優位にあるという。これは、Itaniumの価格がそれほど上がらないにもかかわらず、性能は急激に向上しているためだ。

 単純にいえば、あるパフォーマンスを実現したい場合、XeonではなくItaniumを使うほうが低コストであり、逆にかけられるコストが決まっている場合はXeonではなくItaniumを使うほうが高パフォーマンスが期待できるということだ。Itaniumのお買い得度が上がっていることになる。これではXeonの普及が今後進まなくなることも予想されるが、町田氏は「ユーザーがどのような目的でITを使うかで32ビット、64ビットのエリアは異なる。ユーザーの使い勝手、需要を考えると32ビット、64ビットを共存共栄させていくのは適切なものづくりだと考えている」と述べ、ユーザーの間で使い分けが進んでいくとの認識を示した。

 インテルはブレードサーバの開発にも注力する。ブレードサーバはブレード間のI/Oが差別化ポイントの1つになるが、インテルは社内にインターコネクトなどを開発する事業部を抱えているため強みを発揮できると見ている。2004年第1四半期にXeonプロセッサMPを4個搭載したブレードサーバを投入予定。ブレードサーバの筐体に収められるギガビットイーサネットのスイッチも同時期に投入するという。また、2004年半ばにはInfiniband、ファイバチャネルに対応したスイッチをブロケードと共同開発し、発表する。さらに2005年までにItaniumアーキテクチャを採用したブレードサーバを自社、または協力ベンダと開発する予定で、「ユーティリティ・コンピューティング、グリッド、自律型コンピューティングの基盤アーキテクチャにしたい」(小山氏)という。

(編集局 垣内郁栄)

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