SSL-VPNと、ジュニパーとの関係を語るネットスクリーン

2004/2/11

 ネットスクリーン・テクノロジーズ・ジャパンは、同社のSSL-VPNアプライアンス製品の集中管理ツールを発表した。今回の発表は、昨年12月に買収したネオテリスのSSL-VPN製品を、同社の製品系列に加えてから最初のものとなる。いままで「Neoteris Secure Accessシリーズ」だった製品群は「NetScreen Secure Accessシリーズ」となり、新しい集中管理ツールによって複数の製品を1個所で管理できるようになった。

 SSL-VPNは、Webブラウザを用いるだけで社外から安全かつ容易に、社内のサーバへアクセスする手段として2003年から急速に普及が始まった。NetScreen Secure Accessシリーズは、アプライアンスとしてその機能を提供するゲートウェイ製品だ。SSLプロトコルを利用するため、Webブラウザだけあれば暗号化された安全なアクセスが可能なほか、POPやIMAP、NetBIOSなどのプロトコルにも対応が進んでおり、Webアプリケーション以外のアプリケーションに対しても安全なアクセス環境を提供できる。

 新製品の発表のために来日した、ネットスクリーン・テクノロジーズ アジア太平洋地域 マーケティング シニア・ディレクター ポール・セラノ(Paul Serrano)氏と、Secure Access製品担当 シニア・プロダクト・マネジャー ジョニー・コンスタンタス(Johnnie A.Konstantas)氏に、今後の戦略を聞いた。質問には主にコンスタンタス氏が答えているが、ジュニパーとの関係についてはセラノ氏が答えた。


――― SSL-VPNマーケットが昨年から急速に立ち上がっています。その理由をどう分析されますか?

ネットスクリーン・テクノロジーズ シニア・プロダクト・マネジャー ジョニー・コンスタンタス氏(左)と、アジア太平洋地域 マーケティング シニア・ディレクター ポール・セラノ氏。ジュニパーによる買収の知らせは、社員に対するCEOからのメールで知らされたという

コンスタンタス氏 サイト間接続ではIPSecは適切なプロトコルですが、リモートアクセスではIPSecは使いにくいプロトコルでした。クライアント側に専用プログラムが必要なためです。まだVPN市場の大部分はサイト間接続が占めていますが、SSL-VPNはリモートアクセスの普及を後押ししつつ成長しているといえるでしょう。

――― 各社から提供されるSSL-VPN製品は、安全にアクセスでき、さまざまなアプリケーションに対応する、という基本的な機能には差がなくなってきています。今後の差別化要因は何になりますか?

コンスタンタス氏 たしかにマーケティング資料を見る限り、どのベンダのSSL-VPNもその機能に大きな違いはなくなってきています。しかし、管理とデバイス対応という2つの面で実際には違いが存在します。例えば、PC以外のデバイスでアクセスしてみると画面が壊れていたり、アクセスできなかったりする機器があるといいます。さまざまなコンテンツを扱えるようになるために、まだSSL-VPNには成熟の余地があると思います。

 また、ネットワークの管理は企業にとって大きな課題です。我々は中堅から大企業にフォーカスを絞り、50〜100ユーザーを超えるユーザーや複数の機器の管理などを容易にする付加価値を提供していきます。さらに将来は、ファイアウォール、IPSecといったさまざまなセキュリティリソースとの統合管理も考えており、これらは差別化要因となるでしょう。

―――今朝、ネットスクリーンがジュニパーネットワークスに買収される、というニュースが流れました。今後の動きはどうなりますか?

セラノ氏 まさに新しいニュースです。両社の話し合いは始まったばかりで、法律的にもまだ詳しいことをお知らせすることはできません。しかし、企業のネットワークインフラにセキュリティが統合されることは意味があることで、これは今回の買収以前から我々が考えていたことです。ジュニパーは以前からネットスクリーンの緊密なパートナーであり、その意味でも今回の買収は自然な動きだといえるでしょう。

(編集局 新野淳一)

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ネットスクリーン・テクノロジーズ・ジャパン
ジュニパーネットワークス

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