「面白いビジネスだ」、インテルCEOがデジタル家電に本腰

2004/2/25

米インテルの最高経営責任者(CEO) クレイグ・バレット氏

 米インテルの最高経営責任者(CEO) クレイグ・バレット(Craig R. Barrett)氏は、インテルが開発した大画面テレビ用のシリコン技術「Liquid Crystal on Silicon」(LCOS)を搭載した大画面テレビを国内で初めてデモし、「2004年末にLCOSチップを出荷する」と2月24日、発表した。バレット氏はデジタル家電について「デジタルコンテンツをPCやハンドヘルド、セットトップボックスなどさまざまなデバイスで共有することが重要」と指摘し、デジタル家電同士の相互接続性についての標準作りを推進する考えを強調した。

 バレット氏は65インチの大画面テレビに実際に映像を映してデモを行った。LCOSチップを使うことでテレビメーカーは従来の大画面テレビと比較して低価格でテレビを開発できるという。インテルによるとメーカーは、2000ドルを下回る価格で大画面テレビを製品化可能で、2004年初頭にもLCOSチップを搭載した大画面テレビが登場するという。

 バレット氏は家庭でホームサーバ的な使い方ができるコンセプトPCや、持ち運びができて無線LANを利用したIP携帯電話、テレビ電話などが利用できるノートPC(コード名:Florence)も国内で初めて披露。オフィスで利用するPCに続き、家庭でのコンピュータの利用についても指導的な立場を堅持する姿勢を強調した。

インテルが国内で始めてデモを行ったLCOSチップ搭載の65インチテレビ

 インテルがデジタル家電の推進で最も重要視しているのが、デバイス同士の相互接続性だ。デジタルビデオカメラで撮影した映像をPCに移動し編集、その映像をテレビで見るというデジタル家電同士が連携した使い方の中で、「コンテンツをデバイス間で移動させるためのプロトコル」が重要という認識。バレット氏は、インテルとソニー、富士通、NECなど計17社が2003年夏に設立したデジタル家電の相互接続性の検討するための組織「デジタルホーム・ワーキング・グループ」への参加企業がすでに100社に達したことを説明し、「2004年第2四半期にガイドラインを発表予定で、今年後半にもガイドラインに対応した製品が出荷されるだろう」と述べた。

 デジタル家電が普及した際、その中心にあるのはPCではない可能性が高い。大画面テレビに接続したセットトップボックス型のホームサーバかもしれない。PC向けのプロセッサを主力としたインテルはどこで収益を上げるのか? インテルが考えているのは、PCでの経験を生かしたデジタル家電向けチップセットの開発だ。2月中旬に米国で行われたIDFでインテルはデジタル家電のさまざまな用途向けに複数のチップを開発していることを明らかにした。LCOSチップはそのうちの1つ。バレット氏は大画面向けのLCOSチップについて「初年度は数億ドル規模のビジネスになる。インテルにとって大きく貢献するというわけではないが、ビジネスとしては面白い」と述べ、今後の成長分野としてデジタル家電向けチップに注目する考えを示した。

(編集局 垣内郁栄)

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