ICタグブームで上げ潮? テラデータの今後は

2004/3/12

 米NCR Teradataディビジョン シニア・バイスプレジデント マイケル・コーラー(Michael F. Koehler)氏は、同社のテラデータ事業について「製造、保険・ヘルスケアの業界でデータウェアハウス(DWH)によるデータ統合のニーズがある」と述べ、すでに強みを持つ流通、金融などの業界に加えて製造、保険・ヘルスケア向けのビジネスを強化する方針を3月11日に明らかにした。コーラー氏は新規顧客に対応するため、エンジニアを増員する考えがあることを説明し、「業界ごとの特殊な問題を解決するソリューションを提供したい」と述べた。

米NCR Teradataディビジョン シニア・バイスプレジデント マイケル・コーラー氏

 NCRはテラデータ事業で業界別にデータ統合、DWHのソリューションを提供。単にデータを統合するだけでなく、「業界別に培ってきたノウハウを提供し、ビジネスのシングルビューを実現する」(コーラー氏)のが特徴だ。データ統合したうえで、業務をリアルタイムで分析し、トップマネジメントや現場スタッフの意思決定を支援する。企業間でのデータ共有、データ量の増大などで企業が扱うデータが分散して保存されることが多くなり、「企業がデータを有効に活用していない」というのがNCRの認識。企業買収や合併などでデータ統合のニーズも高まっていて、データを統合したうえで、多次元で業務分析できるDWHのメリットを強調している。

 コーラー氏が今後の注目テクノロジとして指摘したのが無線ICタグ。製造業の現場でICタグが導入された場合、サーバが処理するデータ量は現在の3倍になり、また一般消費財の1つ1つにICタグが取り付けられた場合は、流通で扱われるデータ量が7倍になると予測されているとして、「ICタグの登場でデータ統合のニーズがさらに高まる。NCRにとってはとてもよいニュースだ」と述べた。

 NCRは企業のデータ統合ニーズが高まることを見越して、エンジニアを10%増員する。また顧客企業のビジネスやシステムを分析するコンサルタントも15%増員する計画。パートナー企業と協力し、業界別ソリューションの開発も進める。NCRは今年1月にSAPと提携し、共同で顧客企業の業務分析を手がけると発表した。エンジニアを増員し、協業を拡大することで「市場でのNCRの優位性を維持する」(コーラー氏)のが目的。

 一方で、データ統合によるシングルビューの提供という考えは他社も注目している。オラクルは今年半ばにも出荷予定の次期業務アプリケーションソフト「Oracle E-Business Suite 11i.10」にさまざまなシステムの顧客データを統合する新機能「Oracle Customer Data Hub」を搭載すると発表した。オラクルはデータベース最大手で多くの顧客基盤を持ち、NCRの強力な競合相手になることが予想される。しかし、コーラー氏は「オラクルからテラデータへのマイグレーションプログラムを利用して100社以上がテラデータに移行した」と説明したうえで、「テラデータの強みは顧客と協力し、最適なアーキテクチャを構築し、約束した効率性を引き出すことだ」と述べ、強気な姿勢を強調した。

(編集局 垣内郁栄)

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日本NCR テラデータ事業本部
米NCR

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