EAIの次は「コンポジット・アプリケーション」、シービヨンド

2004/2/18

 シービヨンド・テクノロジー・コーポレーションは2月17日、ETLEAIBPM/BtoB/ポータル機能を提供するシステム統合インフラの新製品「SeeBeyond Integrated Composite Application Network Suite 5.0」(ICAN Suite 5.0)を発表した。

 ICAN Suite 5.0は、同社の主力製品であるEAIツール「e*Gate version 4.5」のバージョンアップ版「eGate Integrator 5.0」を含むスイート製品で、新たにETLツールやアプリケーションジェネレータなど6製品を追加し、ETL、EAI、BPM、BtoB、ポータルにいたるシステム統合機能を網羅。またJ2EEに完全準拠したJavaアプリケーション・サーバも内包し、新規アプリケーションの開発・実行環境も提供している。さらにIBMのWebSphereやBEAシステムズのWebLogicなど主要アプリケーション・サーバにも対応し、ICAN Suite 5.0で構築したシステムやビジネスロジックをこれらのアプリケーション・サーバ上で稼働させられる。

 ICAN5.0に含まれる製品群は以下のとおり。

  • 「eGate Integrator 5.0」 JavaやXSLTによるデータ変換、メッセージングを実行システム連携基盤
  • 「eInsight Business Process Manager 5.0」 ビジネスプロセスやワークフローの記述・実行環境
  • 「eVision Studio 5.0」(新製品) ノンプログラミングでWebアプリケーションを開発するジェネレータ
  • 「ePortal Composer 5.0」(新製品) パーソナライゼーションなどポータル機能を提供するJ2EEサーバ
  • 「eTL 5.0」(新製品) レガシーシステムやデータベースからデータを抽出・変換・ロードするツール
  • 「eXchange 5.0」 取引先プロフィール定義やプロトコル管理など、BtoBフレームワークを作成するツール
  • 「eXpressway 5.0」(新製品) 取引先がBtoB連携のためにダウンロードするeGateのサブセット
  • 「eView 5.0」(新製品) 社内外のシステムのデータをマッピングし、シングルビューを提供するツール
  • 「eBAM 5.0」(新製品) ビジネス状況をモニタリングするツール

 スイート製品ではあるが、ユーザーニーズに応じて必要な製品だけの導入も可能。最小構成はシステム連携基盤であるeGateと、BPM機能を司るeInsightの2つ。なおeGateには、ICAN Suite 5.0全体を統一ビューで開発できる統合開発環境「Enterprise Designer」と、ランタイム統合環境「Enterprise Manager」が含まれる。ちなみにライセンス価格は実働環境に完全準拠して設定されるため、接続先システムの数などによって変動する。

米シービヨンド バイスプレジデント スコット・ウエスト氏

 米シービヨンドのバイスプレジデントであり、シービヨンド日本法人も管轄しているスコット・ウエスト(Scott West)氏は、今回の発表にあたって「当社が14年間培ってきたシステム連携の技術ノウハウを集約し、ユーザーの既存環境を生かす真のベストオブブリードのソリューションを提供する」と自信を見せる。

 現在、システム構築においては「めまぐるしく変化するビジネス環境に、ITをどう対応させていくか」というテーマが関心を集めている。例えば新規ビジネスを始めようとしても、そのビジネスを支援するシステムを迅速に開発できなければ、せっかくのビジネスチャンスを逃す結果になりかねない。そのため、1つ1つのビジネス機能(サービス)をコンポーネント化し、実現したいビジネスモデルや機能に応じてコンポーネントを組み合わせ、迅速にシステムを開発するアーキテクチャ「SOA」(Services Oriented Architecture)という考え方が注目され始めている。ICAN Suite 5.0最大の特徴は、このSOAの考え方に基づいた「コンポジット・アプリケーション環境」を実現することにあるという。

 コンポジット・アプリケーション環境とは、自在にアプリケーションを組み合わせ、柔軟なシステムを開発できる環境のこと。具体的には、(1)既存/新規システムの機能を柔軟に組み合わせ、エンドユーザーが望むさまざまな粒度のサービスコンポーネントを実現、(2)サービス公開・利用のためにWebサービスなど標準テクノロジを採用し、高いオープン性を実現、(3)ビジネスプロセスを実行する「BPEL4WS」や、ビジネスモデル記述言語「BPMN」に対応することで、エンドユーザー自身が柔軟にサービスの組み合わせるITを提供する。これらを実現する手段として、「アプリケーション機能をサービスコンポーネント化するXMLやJ2EE、Webサービスなどのオープン技術を用い、シンプルで柔軟なIT環境を構築できるようになる」(シービヨンド 技術本部 セールス・サポート部マネージャー 六戸力氏)という。

 現在、SOAやBPMを実現する製品としてJ2EEアプリケーション・サーバが名乗りを上げ、SAPなどアプリケーションベンダもシステム連携・開発・実行基盤を提供するなど、競合が激しくせめぎ合っている。今回のICAN Suite 5.0も、J2EEアプリケーション・サーバを内包し、製品体系としてはIBMやBEAなどのアプリケーション・サーバとほとんど変わりはない。では、ICAN Suite 5.0のアピールポイントはどこにあるのか。この点について同社技術本部 高橋透氏は「主力製品『e*Gate』は、主要パッケージのほか各種ホストシステムとの接続インターフェイスを数多く備え、国内50社、ワールドワイド1800社で実際に使われているという実績がある。システム連携に関する技術ノウハウは、どのベンダより高いといえる」と自信を崩さない。

 国内での販売については、まず2004年5月にeGate、eInsight、eXchangeの3製品を出荷する予定。さらに9月からほかの製品も順次市場投入する。

 国内販売戦略にあたってシービヨンド 営業本部 部長 柏木武志氏は、「従来どおりパートナーモデルを継続・拡張していく方針。また構成に制限を設けて価格を下げたエントリーモデルを提供することで、導入の敷居を低くする」と語った。エントリモデルの価格や構成については、現在パートナーと検討中。「また実際にビジネスを担当するエンドユーザーや経営層にコンポジット・アプリケーション環境の有用性を理解していただくため、ICAN導入アプローチを早急に体系化する」(柏木氏)。この販売戦略に基づき、2004年度中に新規ユーザー50社の獲得を目指すという。

(編集局 岩崎史絵)

[関連リンク]
シービヨンド・テクノロジー・コーポレーションの発表資料

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