テレビ電話の企業利用は広がるか、シスコが本腰

2004/3/24

米シスコシステムズのIPコミュニケーションズ事業部 プロダクトマーケティングディレクター ハンク・ランバート氏

 シスコシステムズは新たに発表した「Cisco CallManager リリース 4.0」とソフトウェア、USBカメラを組み合わせて1対1、または複数で利用できるIPベースのテレビ電話ソリューション「Cisco VT(ビデオテレフォニー)Advantage リリース 1.0」を2004年第2四半期(4−6月)に出荷開始すると3月23日、発表した。米シスコシステムズのIPコミュニケーションズ事業部 プロダクトマーケティングディレクター ハンク・ランバート(Hank Lambert)氏は「テレビ電話は発明から40年経っても普及していない」と指摘。「Cisco VT Advantageは経済性や品質、可用性など普及のための課題を解決した」としてCisco VT Advantageが企業のテレビ電話利用を後押しするとの考えを強調した。

 Cisco VT Advantageの特徴はテレビ電話で、通常の電話同様の保留や転送機能などが利用できること。シスコのIP電話機(Cisco IP Phone 7970G、7960G、7940Gが対応)をPCに接続し、PCに表示される相手の顔を見ながら電話で会話する仕組みになっている。テレビ電話中に保留したり、別の相手に転送、または複数の相手の顔を見ながらビデオ会議をすることができる。シスコ製のネットワーク機器だけでなく、H.323に対応する製品なら利用できる。多地点での接続には別にシスコのMCU「IP/VC3500シリーズ」を使う。

「Cisco VT Advantage」のデモ。PC画面に通話先相手の姿が映し出され、IP電話機で通話する

 Cisco VT Advantageはテレビ電話を可能にするソフトウェアとPCに接続するUSBカメラがセットになっていて、別にCisco CallManager リリース 4.0が必要。Cisco CallManager リリース 4.0でテレビ会議のシステムを管理でき、ネットワーク管理者は社内のデータネットワーク、IP電話のネットワーク、テレビ会議のネットワークを一括して管理できる。社員の電話番号の管理も容易になる。

 シスコが2004年第2四半期に出荷開始するCisco CallManager リリース 4.0は、セキュリティ機能が強化された。X.509v3電子証明書に対応し、接続するネットワーク機器の認証を可能にした。シグナリングの認証や暗号化にも対応し、エンドユーザーはかかってきた電話が認証された通話かPCの画面で確認できる。また、コンピュータ・ウイルスや不正アクセスの“ふるまい”を検知して攻撃をブロックする機能「Cisco Security Agent for CallManager」を搭載する。Cisco CallManager リリース 4.0は新たにPBXシステムで広く使われるシグナリング規格「Q.SIG」に対応。既存のPBXと接続できるようにした。SIPもサポートし、サードパーティのSIPプロクシサーバと連携させられる。

 Cisco VT AdvantageはUSBカメラ、ソフト、ライセンスを含めた参考価格が2万8000円。Cisco CallManager リリース 4.0は81万1000円からとなっている。シスコではテレビ電話、ビデオテレフォニーの国内市場を150億円規模とみていて、2006年までにシェア30%の獲得を目指す。

(編集局 垣内郁栄)

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