「ビジネスプロセスを改革」するビデオ会議システムとは

2003/4/8

 トーメンサイバービジネスは、通信プロトコルにH.323などの標準規格を採用したIPネットワーク利用の多地点ビデオ会議システム「Visual Nexus」を、6月に発売すると発表した。標準規格を採用するだけでなく、APIを公開することで、ほかのビデオ会議機器と接続したり、ビジネスアプリケーションとの連携が容易になるという。トーメンでは「ビジネスプロセス改革の切り札になる」と意気込んでいる。

「Visual Nexus」の利用画面。参加者でアプリケーションの共有が可能

 Visual Nexusは通信プロトコルにH.323とT.120を採用。セットトップボックス型のビデオ会議システム機器やWindows OSに搭載されているコミュニケーションソフト「Netmeeting」などとの接続が可能。将来的にはSIP(Session Initiation Protocol)のサポートも検討する。従来のビデオ会議システムはISDNなどの低速な通信回線の利用が前提で、通信プロトコルも独自規格を使うことが多かったという。Visual Nexusは標準規格を採用したことで、柔軟なネットワークを構築することが可能となり、トーメンでは「従来の会議室と会議室を結ぶオンライン会議から、多地点でPCを結ぶオンラインデスクトップ会議が可能なる」としている。

 Visual Nexusのコンポーネントは、多地点で同時に話される音声を合成したり、多人数が会議に参加している場合に、音声に反応して映す人を切り替えるマルチポイントコントロールユニット(MCU)の「Visual Nexus Meeting Server」と、PCにインストールして1画面に最大8拠点までの会議参加者を映し出すことができるクライアントソフト「Visual Nexus Client Option」。ファイアウォール越しでビデオ会議をできるようにする「Visual Nexus Firewall/NAT Option」がある。基本的には3コンポーネントを組み合わせて利用する。

 クライアントソフトのVisual Nexus Client Optionは、フランステレコムが開発したビデオ会議ソフトの「eConf」が組み込まれていて、従来のソフトに比べてノイズキャンセル、エコーキャンセルの機能が強化されているという。クライアントソフトにマイクロソフトの「PowerPoint」など別のソフトを表示させて、会議参加者でデータを共有することもできる。トーメンでは、Visual NexusのXMLベースのAPIを公開しており、特定アプリケーションとVisual Nexusとの連携が簡単にできるという。1台のMeeting Serverで最大50人程度まで会議に参加できる。

トーメンサイバービジネスの代表取締役社長 西村拓美氏

 価格は、同時接続が10ユーザーの場合で、Meeting Serverが148万円、Client Optionが98万円、Firewall/NAT Optionが98万円となっている。3コンポーネントを導入する場合の総額は344万円となるが、トーメンによると「他社の同類製品と比べると若干安い」という。トーメンサイバービジネスの代表取締役社長 西村拓美氏は、「ビジュアルコミュニケーション分野の製品は最も将来性があると考え、多くのリソースを投入している」と述べ、「Visual Nexusはビジネスユースのインターネット会議システムの決定版」と強調した。

 トーメンでは、通信事業者系やオープンシステム系のシステムインテグレータを通じてVisual Nexusを販売する予定。2003年度に2億4000万円、2005年度に7億5000万円の販売を目標としている。

(垣内郁栄)

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