「標準技術に明るい未来がある」、マイケル・デルCEO

2004/3/27

 米デルの会長兼CEO マイケル・デル(Michael S. Dell)氏は3月26日に都内で会見し、UNIXで動く企業の情報システムをLinux、Windowsプラットフォームへマイグレーションする新サービスを2004年5月に日本で開始すると発表した。デル氏は今後もエンタープライズ事業に注力する方針を強調。「ソフトウェア、周辺機器の市場ではデルは5%のシェアしかない。まだまだデルが成長する機会はある」と述べ、2006年度に売上高で600億ドルを目指す考えを示した。

米デルの会長兼CEO マイケル・デル氏。2004年7月に現社長兼COOのケビン・ロリンズ氏にCEOを譲り、会長に専念することになっているが「私のスケジュールの90%は変わらない」と述べ、現役をアピール。まだ39歳だ

 デル氏はエンタープライズ市場について「企業のIT投資に回復の兆候が出てきた」と指摘。2003年はエンタープライズ製品の売り上げが31%伸び、サーバ、ストレージ、サービスは90億ドルの売り上げ。サーバの出荷台数は40%増加し、ストレージの売り上げは47%増えた。「非常に楽しみな商売になってきた」とデル氏は述べた。日本市場についても「サーバ、PCの合計出荷台数が30%増えた」としたうえで「サーバの出荷台数シェアで18%を獲得した」と説明し、好調さをアピールした。

 デル氏は、ハイパフォーマンス・コンピューティング、グリッド・コンピューティングに注目していると述べた。バイオや製薬など解析が必要とされる分野で高パフォーマンスが要求されると判断。必要に応じて2〜4wayのサーバをシステムに追加していくスケールアウトの戦略がより重要になると指摘し、「8way以上のサーバの市場は年々縮小し、2〜4wayのサーバ市場が拡大していく」と述べた。

 デルが5月に日本で始めるUNIXからLinux、Windowsへのマイグレーションサービスは、デル・プロフェッショナル・サービス事業部(DPS)が顧客の情報システムをモデル化して、最適な移行プランを提案する。システムのインフラ部分だけでなく、ストレージに格納されたアプリケーション・データの移行や、顧客が開発したアプリケーションの移行も行う。マイグレーションに関する顧客からの問い合わせ窓口「Dell Solution Online」のWebサイトも5月に開設する。新サービスの最大のターゲットは大規模なシステム運用が多いサン・マイクロシステムズのSolarisだ。

 2004年後半には、マイグレーションを行った顧客に対してハイレベルなサポートを提供する「プラチナサービス」も開始する計画。プラチナサービスはサーバやストレージなど製品単位のサポートではなく、顧客のサイト単位で統合的に運用・保守のサポートを提供する。専任テクニカル・アカウントマネージャを設置し、エンジニアの常駐などにも対応する。

 デル氏は2003年度の売上高410億ドルを2006年度に600億ドル超にすることを目指すと語った。実現のためにソフトウェア、周辺機器は2006年度までに30%の成長、サービスは35%、サーバは20%の成長を目指す。それぞれ業界標準になった技術を導入し、“デル・モデル”による低価格戦略で市場を圧倒する手法を採る。デル氏は「IT市場はUNIXなどの独自技術と、Linux、Windowsの標準技術で2極化している」としたうえで「標準技術をベースにした製品、サービスに明るい未来がある」と語り、デルの成功モデルをさまざまな分野に適用する考えを強調した。

(編集局 垣内郁栄)

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デルの発表資料

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