IT産業は2008年まで2%の低成長、IDC予測
2004/5/14
米IDC 米国サービスリサーチ グループバイスプレジデント トレーシー・ギア氏 |
IDC Japanは5月13日、「DIRECTIONS 2004 Tokyo ――IT価値の再考:新たな市場機会を探る――」を都内で開催した。基調講演(「企業価値創造とIT投資」)の演壇に立ったIDC Japan リサーチバイスプレジデント 佐伯純一氏は、国内のIT産業を概括し、「インフラとしてのIT産業は成熟期に突入した」と述べた。IDC Japanの調査によると、2004年のIT産業は前年と比べほぼ同等レベルの低成長の見込みで、場合によっては下方修正が行われる可能性もあるという。2008年までの平均成長率は2%程度にとどまる。
「ITが関与する領域を見直す必要もある」と佐伯氏はいう。従来は、企業での利用がIT投資の中心だったが、ユーザーの動向がIT利用企業の投資を左右することになる。つまり、行政や社会インフラの視点から、IT投資の仕掛け作りが必要になってくると佐伯氏は提言する。そのうえで、今後、ITベンダは4つの選択肢を選ぶことになるだろうという。すなわち、「コンポーネント提供」「インフラと付随するサービスの提供」「インフラ上の付加価値提供企業のパートナー」「ビジネスコンサルティング」の4つである。
“IDC’s Service Spending Intentions Survey, Dec-Jan 2003-04”によると、米国企業のCEOやCIOが最も最優先するビジネス上の問題の中に、「企業情報システム」(16%)や「ソフトウェア・アプリケーション」(9%)といったIT関連の案件が含まれているという結果があった。いまさらいうまでもないことなのかもしれないが、企業の経営者にとって、ITは自社のビジネスの運命を左右する大きな要因として、組織の構造改革やコーポレートガバナンスなどと同列に論じられる存在となっている。米IDC 米国サービスリサーチ グループバイスプレジデント トレーシー・ギア(Traci Gere)氏は「ITとビジネスを切り離して考えることなどできない」と話す。
企業のビジネスにITが組み込まれるという状況が一般化したことで、IT市場がこれまでのような劇的な成長路線を継続することはなくなった。それがIDCの予測する低成長率の背景だが、今後のIT市場は、いかに新たな市場の創出を行うかという課題が重要になってくるとIDCでは予測している。
(編集局 谷古宇浩司)
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