攻めのIT投資ができない理由

2004/5/15

アイ・ティ・アール(ITR) 代表取締役 内山悟志氏

 マイクロソフト主催の「GET THE FACTS SEMINAR」で講演したアイ・ティ・アール(ITR) 代表取締役 内山悟志氏は「IT投資は増加の一途をたどるが、その内訳は定常費用の比率が増え、戦略投資の比率はほとんど変化がないという状況である」と話す。定常費用とは、既存システムの維持や若干の機能拡張を指す。逆に、新規システムの構築や大規模リプレースといった企業戦略の一環として行われるのが戦略投資だ。つまり、既存システムの維持管理コストが年々かさむものの、戦略的な意味で“攻めのIT投資”が行えている企業は少ないということを意味する。

 このようなIT投資の悪循環を内山氏はこのように説明する。
 
 「戦略投資の効果について(CIOなどが)説明責任を果たせていない。その結果、適正なIT投資が承認されず、既存システムの維持や管理にコストを割くことで、“ITは金食い虫”とのイメージが社内にまん延、企業の競争力低下にまでつながる」。
 
 戦略投資には例えば、データマイニングやBIなどが含まれる。マーケティング活動の支援として、このようなソリューションは新市場開拓の1つの契機になる可能性があるが、「あくまで可能性に過ぎず、実際には何の効果もない場合も十分考えられる」(内山氏)ため、その投資効果を企業の重役に納得させるのはとても困難である場合が多いという。
 
 しかし、「BIに限ってみても、米国は日本の約20倍の投資額をBI製品に注いでおり、このことは、製品やサービスの質の向上に明らかな影響を及ぼしている」(内山氏)状況である。日本で米国ほど、データマイニングの市場が拡大せず、その効果に対する認知度が低いのもまさに、このような理由にあるのだという。

 このような状況を脱却するために必要なことは、まず社内にIT投資管理の体系を構築すること、TCO(Total Cost of Ownership)の構成要素を細かく規定し、IT戦略と連動させながら投資を行っていくことだ。ここで問題となるのが、IT戦略の立て方。内山氏は、純粋なITの観点から戦略を打ち立てること、経営的な観点からの戦略、(自社のビジネスに関連する)技術動向に関する観点から立案する戦略、の3つのアプローチを統合して、企業のIT戦略を打ち立てていくことが重要だと話す。これまでは「経営戦略とIT戦略の間に大きな溝があったことは否めない」(内山氏)のである。

(編集局 谷古宇浩司)

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