HPもILMに参入、システムベンダしかできないこととは?
2004/5/21
日本ヒューレット・パッカードはシリアルATAの低コストなドライブと、ハイエンドで使われる高パフォーマンスなインターフェイスであるファイバチャネルを組み合わせた「Fibre Attached Technology Adapted」(FATA)対応のハードディスクドライブ(HDD)を、7月に出荷開始すると5月20日に発表した。FATA対応HDDは、可用性が高いオンラインストレージと、テープドライブなど低コストなニアラインストレージの中間に位置する“ニアオンライン”の役割を持ち、HPが提唱するデータ管理の手法「インフォメーション・ライフサイクル・マネジメント」(ILM)を実現する。
ILMはストレージベンダ各社が提唱するデータ管理の考え。データの重要度に合わせて適切なストレージに格納するのが基本となっている。具体的には生成されたばかりの重要なデータは信頼性が高いハイエンドなストレージに格納。参照したり、リカバリすることが多いデータはある程度の信頼性がある低コストなストレージ、参照することがほとんどないデータはアーカイブ用にテープなどに長期保存する。
日本HP エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ネットワークストレージ製品本部 本部長 渡辺浩二氏 |
HPが考えるILMも基本は同じだが、日本HP エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ネットワークストレージ製品本部 本部長 渡辺浩二氏は、「HPはシステムベンダにしかできないILMを実現する」という。データを管理の出発点とするのではなく、コンサルティングなどでビジネスニーズを探り、上位のネットワーク、サーバ、アプリケーション、運用管理を含めてデータを最適化する。EMCなどストレージの専業ベンダが提唱するILMでは「ストレージだけをみてもデータの最適化はできず、部分最適でしかない。ビジネスニーズからみた全体最適が必要」という。HPでは特に金融・証券、医療、ライフサイエンス、公共機関などの業種にILMが適しているとしている。
HPが7月に出荷するFATA対応のHDDは、生成後3〜12カ月たち、アクセスする頻度は低いものの、リカバリなどで高いパフォーマンスが求められるデータの格納に利用する。シリアルATAドライブを用いるために大容量でコストは低いが、一方でインターフェイスはファイバチャネルに互換し、冗長パス、ホットスワップなどに対応する。
FATA対応HDDは、HPのStorageWorks EVA用のHDDとして利用できる。従来のEVA用ファイバチャネル対応HDDと比較すると、ギガバイト当たりの単価は半分になるという。FATAはHPとシーゲイトが共同開発した仕様。HPでは他社が採用し、業界標準になることを期待している。また、HPではシリアルATAのドライブを持ち、SCSIインターフェイスに対応したエントリストレージ向けのHDDも今後投入するという。
(編集局 垣内郁栄)
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