ストレージの「ILM」争いが過熱、ストレージ・テックも新製品

2004/2/13

日本ストレージ・テクノロジーが発表したシリアルATA採用のストレージ「B280」

 日本ストレージ・テクノロジー(以下、ストレージテック)はシリアルATA対応のディスクドライブを搭載したモジュラー形式のストレージ「B220」「B280」を発表、出荷開始したと発表した。ストレージテックは、情報のライフサイクルに従って適切なストレージで管理するという「情報ライフサイクル管理」(Information Lifecycle Management:ILM)を提唱していて、「B220」「B280」もILMを実現するためのミッドレンジ製品との位置付けだ。

 EMCなどほかのストレージベンダもILMをストレージ管理のコンセプトとして打ち出しているが、ストレージテックの米国本社は2年前からILMを提唱していて、ILMの元祖的存在。ディスクドライブを中心としたILMを主張するベンダが多い中で、テープドライブ最大手のストレージテックは、テープドライブをILM実現のための重要な要素と考えている。

 ただ、ILMのコンセプト自体は、他社と大きく変わらない。情報の生成から廃棄まで適切なストレージで管理し、トータルのコストを抑えるというのが基本の考え。具体的には生成されたばかりでアクセス頻度が多い重要なデータは信頼性が高いハイエンドストレージで管理。データとしての価値が低下し、アクセス頻度が高くないデータはミッドレンジのストレージで保存。ほとんどアクセスせず、廃棄間近のデータはローエンドのストレージ(ストレージテックの場合はテープドライブ)で管理する。日本ストレージ・テクノロジー マーケティング本部長 吉川知男氏はこれらの特徴に加えて、「ストレージ・テックが考えるILMはテープドライブが含まれる。テープは外部への持ち出しが可能で、データの保存場所も含めてコストを最適化できる」と他社との違いを訴えた。

日本ストレージ・テクノロジー マーケティング本部長 吉川知男氏

 ストレージテックが今回発表したB220、B280はシリアルATA対応ディスクドライブを採用し、低価格を実現したのが特徴。ディスクアレイ・モジュールを追加し、データ容量を増大させることができる。B280はエンタープライズ向けストレージで、ディスクアレイ・モジュールを最大224台搭載可能。最大容量は56TBになる。エントリレベルのB220は112台までディスクアレイ・モジュールを搭載でき、最大容量は28TB。3.5TB分のディスクアレイ・モジュールを搭載したB220の製品価格は745万円から。ストレージテックによると「シリアルATAドライブの1GB当たりのコストは、ファイバチャネルドライブの約3分の1になる」という。

(編集局 垣内郁栄)

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日本ストレージ・テクノロジーの発表資料

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