8年目の浮気はなしよ、富士通とSAPが協業強化

2004/6/16

 富士通と独SAP、SAPジャパンはグローバルでの協業体制を強化し、富士通のSAP向けプラットフォーム製品「FlexFrame for mySAP Business Suite」を世界展開すると6月15日に発表した。富士通 経営執行役常務 伊東千秋氏は「SAPとの協業は8年になる。その関係をよりよいものしていきたい」とコメント。「富士通のIT基盤であるTRIOLEのベクトルの中にSAP製品の要素を入れたい」と述べた。

左からSAPジャパン 代表取締役社長 藤井清孝氏、富士通 経営執行役常務 伊東千秋氏、独SAPのGlobal Partner Management Senior Vice President ステファン・ロシウス氏

 FlexFrameは富士通の欧州関連会社、富士通シーメンスコンピュータズが開発し、欧州を中心に販売している製品。ブレードサーバ、NASのハードと自律化、仮想化のミドルウェアを組み合わせたSAP製品専用のプラットフォーム。ブレードサーバ上でサーバやストレージのリソースを動的にSAPアプリケーションに割り当てることが可能で、システムの柔軟性、可用性を向上させる。SAPのアプリケーションを稼働させる場合、通常は開発用、評価用、本番用の3台のサーバが必要となるが、FlexFrameを使うことで1台に統合できるという。価格はサーバとストレージ、ミドルウェアを含め5000万円から。日本で2004年度下期に販売を開始し、世界市場でも展開する。2005年末までに300システムの販売を目指す。

 伊東氏はFlexFrameを「TRIOLEのSAP版」と説明。SAP NetWeaverと組み合わせることで、検証済みで、堅牢、柔軟なシステムが短期間で構築できると述べた。SAPのGlobal Partner Management Senior Vice President ステファン・ロシウス(Stephan Rossius)氏はFlexFrameについて「Linuxなどオープンソースソフトを使うことでTCOを削減できる」と評価。これまで20以上の導入事例があり、TCOを30%削減できたケースもあったという。

 富士通は顧客に対してFlexFrameの提案、導入支援、運用支援などを行う「富士通NetWeaverソリューションセンター」を7月に設立。シンガポールや米国、欧州にも同様のセンターを設ける計画でSAPとのパートナーシップを継続して強化する。

 富士通とSAPの協業関係は1996年にスタート。2000年には世界のサーバベンダ6社のうちの1社としてSAPとグローバル・テクノロジ・パートナー契約を結んだ。富士通以外のサーバベンダはIBM、ヒューレット・パッカード、サン・マイクロシステムズ、ユニシス、デル。国産ハードベンダは富士通だけで、伊東氏は「SAPからグローバルプレーヤーとしてに認められている」との認識を示した。一方でIBMやデルなどほかのサーバベンダとSAPとの協業関係と比較して、富士通の影が薄かったという指摘もある。富士通は、ミドルウェア製品などの強みを生かしたFlexFrameを導入することで、SAP関連のビジネスを再構築する意気込みだ。

(編集局 垣内郁栄)

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富士通の発表資料
SAPジャパンの発表資料

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