デバイス仮想化で開発期間が3分の1、富士通「Interstage」

2004/1/27

 富士通はクライアントPCや携帯電話、PDAなど企業情報システムのフロントエンドで利用するデバイスへの情報配信を管理し、ビジネスプロセスを効率化するミドルウェア「Interstage Realtime Communicator」を発売したと発表した。さまざまなデバイスを想定したシステムを開発するには通常、デバイスごとにアプリケーション開発、検証が必要だが、Interstage Realtime Communicatorはデバイスやネットワークを仮想化することで、それぞれの差異をなくし、短期開発を実現できるという。同様の機能を提供する従来のミドルウェアと比較して、約3分の1の期間でシステムを開発できると富士通はアピールしている。

富士通 経営執行役 ソフトウェア事業本部長 棚倉由行氏

 富士通 経営執行役 ソフトウェア事業本部長 棚倉由行氏は携帯電話や車載機、無線ICタグなど利用が広がる各種デバイスをどのようにビジネスに生かすかが重要と指摘。「特にスピードが重要だ」と指摘し、リアルタイムで情報配信、共有ができるミドルウェアが企業に求められているとの認識を示した。Interstage Realtime Communicatorは富士通が提唱するIT基盤「TRIOLE」の中で、「自律」「仮想」に続く「統合」を担当。Interstageのアプリケーションサーバを中心に、企業ユーザーやコンシューマ・ユーザーが直接かかわるフロントエンドに対して、効率的に情報をやりとりできるようにする。

 さまざまなネットワーク環境で、各種デバイスを対象にしたアプリケーションの開発を支援するミドルウェアは他社にもあるが、富士通がInterstage Realtime Communicatorの特徴として強調しているのは「プレゼンス管理技術」と「プッシュ技術」だ。プレゼンス管理技術はInterstage Realtime Communicatorが、ユーザーやデバイスの状態をリアルタイムに確認し、最適な形で情報を配信する機能。ユーザーが携帯電話を使っているならURLを含むテキストベースの情報を配信し、詳細情報をURLで提示したり、PCを使っているならリッチなコンテンツを配信するという使い方が可能になる。また、プッシュ技術はデバイスに対してWebブラウザのポップアップなどで情報をリアルタイムに表示する機能。ユーザーが携帯電話を使っている環境なら電子メールを配信する。運転中の自動車などユーザーが電子メールを送信したり、Webサイトを確認することが困難な状況では、音声でアプリケーションに指示を与えることもできる。

 富士通 ソフトウェア事業本部 ミドルウェアソリューション事業部長 天野宏氏はInterstage Realtime Communicatorの利用例を紹介した。1つはPCや携帯電話などさまざまなデバイスを使うルートセールスの営業スタッフが、在庫確認や入荷通知を行うシステム。Interstage Realtime Communicatorが営業スタッフの状態を確認し、本部側から最適な形で情報を提供する。営業スタッフはどのようなデバイスからでも本部に対して在庫確認や配送依頼ができる。天野氏はほかにモバイル向けのコンテンツ配信、コンシューマ向け宅配サービスなどを紹介。「すでに動いている事例」として飲料会社の営業スタッフが外出先で携帯電話からオンラインで発注、リアルタイムで在庫状況を確認するデモンストレーションを行った。

 Interstage Realtime Communicatorの出荷は2004年3月初旬から。価格は100万円からで、2004年内に500の案件獲得を目指している。

(編集局 垣内郁栄)

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富士通の発表資料

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