[JavaOne 2004開催]
Javaの一部がオープンソース化される

2004/6/30

 「JavaOne 2004」が、6月28日〜7月1日(現地時間)の4日間にわたり米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催されている。すでに、サーバ・サイドの開発環境の一大勢力となったJavaだが、今年のJavaOneではどのような話題が飛び出すのだろうか。

■Javaにもオープンソース化の波

キーノートを行った米サンCOOのジョナサン・シュワルツ氏

 キーノートを行った米サン・マイクロシステムズ COOのジョナサン・シュワルツ(Jonathan Schwartz)氏が発表したのは、デスクトップ画面に3D視覚効果を与えるJava技術のLooking Glass(プロジェクト名)をオープンソース・コミュニティに提供することだった。開発中のLooking Glassは現在ベータ版が提供されており、正式版リリース後にソースコードが公開されることになる。また、Javaの3D APIであるJava 3Dのほか、Java Desktop Network Components(JDNC)とJava Desktop Integration Components(JDIC)についてもソースコードを公開し、ユーザー・コミュニティ間で情報を共有できるようにするという。これらソースコードは、開発者向けコミュニティ・サイトの「java.net」上で利用可能になる。

 今回の発表では、オープンソース化の対象となるのはJavaの周りを固めるコンポーネント群が中心で、コアとなるAPI群は含まれない。サンでは現在、Java Desktop System(JDS)などのように、デスクトップ環境周辺の機能強化に力を入れている。JDNCはグリッドやテーブルなどを簡単に表示させるためのコンポーネント、JDICはOS上に搭載している機能やアプリケーション、例えばWebブラウザをコンポーネントとして呼び出すことを可能にするコンポーネントである。Java 3Dは3D描画を実現する。今回オープンソース化が発表されたコンポーネント群は、すべて表示環境を強化するものであり、リッチ・クライアント環境の実現には欠かせない技術である。サンはオープンソースを呼び水に、自社が力を入れる分野へと開発者を引き寄せることを狙う。

■Java Studio Creatorが正式リリース

 Project Raveのコード名で知られていた「Java Studio Creator」は、6月28日(現地時間)に最終リリースの提供が行われた。Java Studio Creatorは従来のJava開発ツールとは異なり、IDE上でビジュアル化されたコンポーネントを関連付けることで、プログラミングが行えるツールである。ターゲットとなるのはマイクロソフトのVisual Basicなどを利用している比較的ライトな開発者。従来Javaが入り込んでいなかった企業システムにおけるクライアント向けプログラム開発などの分野を開拓する。

 Java Studio Creatorは、Sun Developer Network(SDN)の加入者に対して提供されることになる。SDN Standardが年契約で99ドルのため、Java Studio Creatorを利用したいユーザーは99ドルで購入できるということになる。現在サポートするのがSolaris、Windows、Linuxの各プラットフォームで、今回新たにMac OS X版もリリースされている。

■J2SE 5.0(コード名:Tiger)を発表

 サンのデスクトップ環境強化戦略の最後を締めるのが、デスクトップ環境向けJavaのメジャー・バージョンアップ版である「Java 2 Platform Standard Edition(J2SE)5.0」の発表だ。正式なバージョンは1.5であり、同社幹部の話によれば「5.0という名称がついたのはマーケティング上の理由」だとしている。同J2SE 5.0は、従来までTigerというコード名で呼ばれていたものだ。

 J2SE 5.0の特徴は、パフォーマンスの強化のほか、Java Virtual Machine(JVM)の動作状況を遠隔監視するJava Management Extensions(JMX)の追加、グラフィック描画機能の強化などである。現在提供されているのはベータ2版で、正式リリースは今年2004年夏ごろになるとみられる。

鈴木淳也(Junya Suzuki)

[関連リンク]
サン・マイクロシステムズ
JavaOne 2004

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