Eclipse基盤のIBM Workplace Client Technology、その可能性
2004/5/18
日本IBM ソフトウェア事業 ブランド&スペシャリティ担当 理事 川原均氏 |
日本IBMは5月17日、クライアント・ソフトウェアの新戦略「IBM Workplace」を発表した。同戦略は米IBMが5月10日に米国で発表したもの。「Lotusphere 2004」(2004年1月25日〜29日まで開催)でもその基本的な解説は行われた。Eclipseのフレームワーク上に構築された「IBM Workplace Client Technology」がこの戦略の基盤である。IBM Workplace Client Technologyは今後のIBM製品におけるユーザーインターフェイスの統合基盤となる重要な技術である。
IBM Workplace Client Technologyで実現するクライアント環境では、サーバで一括管理されるアプリケーション・コンポーネントがクライアントの必要に応じてダウンロードされる。クライアント側の動作環境は、Windows、UNIX、Linux、Symbian OSなどで、2004年後半にはMacOSでも対応予定。これはEclipseのフレームワークを利用するメリットの1つだがほかにも、ユーザーインターフェイスの構築基盤が含まれる点を挙げることができる。
現在、Webアプリケーションのクライアント環境として主流であるWebブラウザでは、情報の参照や文字入力などの操作性が制限されたり、オンライン環境でないと使用できない、といった課題が残されていた。
IBM Workplace Client Technology(Rich Edition)という技術を活用することで、例えば、ファイルをドラッグ・アンド・ドロップできるなどの操作性の高いユーザー・インターフェイスを実装したクライアント環境を構築でき、また、オフライン状態でも作業を継続し、オンライン後にデータの同期を取ることなどが可能となる。ソフトウェアコンポーネントの基本はJavaだが、EclipseのSWT(Standard Widget Toolkit)を使用してActive Xをはじめとしたほかのコンポーネントを利用することもできる。
最初のソフトウェア・コンポーネントとしてリリースするのは、電子メールやカレンダー機能を提供する「Lotus Workplace Messaging」と文書共有、管理機能を提供する「Lotus Workplace Documents」。2004年第4四半期には、API群をそろえたLotus Workplace Products 2.5をリリースし、ビジネス・パートナーがIBM Workplace上でソフトウェアを開発できる環境を整える。
Eclipseのフレームワークを利用することで、幅広い稼働環境と軽い動作、開発のしやすさという特徴を(IBM Workplace Client Technology上で動作するアプリケーションは)持つことになる。このことは、統合開発環境(IDE)という側面でとらえられていたEclipseが実は、次世代アプリケーションのクライアント環境(の基盤)になる可能性が出てきたことを意味する。IBM/Lotusの開発陣がLotusのテクノロジ戦略としてJ2EEに力を入れていることは周知の事実(技術白書:Lotusのテクノロジ戦略)であり、Notes/Dominoのクライアント・ソフトが将来的には、EclipseのプラグインのようなJavaコンポーネントになる可能性は大きい。
IBMは2006年にリリース予定の「Notes/Domino 8.0」で、Workplaceへの完全対応を表明している。
(編集局 谷古宇浩司)
[関連リンク]
日本IBMの発表資料
[IBM
Workplace Client Technology: Delivering the Rich Client Experience:White
Paper]
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