デルが教育サービスに進出。やっぱりデルモデル?

2004/7/8

 デルは同社のハードウェアなどを導入する予定の顧客や導入済みの顧客に対して、ITシステムの導入、運用管理などを担う人材育成サービス、教育サービスを開始すると発表した。

デルのデル・プロフェッショナル・サービス事業部 トレーニング・ビジネス・ディベロップメント マネージャの渡辺知樹氏

 デルはエンタープライズ分野で、サーバ、ストレージ、スイッチ、さらにはコンサルティングサービス、と徐々にビジネス領域を広げてきた。では、さらに人材育成サービスと教育サービスという分野にも手を伸ばしてきたのはなぜだろうか。同社のデル・プロフェッショナル・サービス事業部 トレーニング・ビジネス・ディベロップメント マネージャ 渡辺知樹氏はその背景として、「ハードウェア、ソフトウェアのほか、システム構築や運用管理を行う人がいて、初めて堅固なインフラストラクチャが完成する。この『人』の部分に対して、これまでデルはそれほど投資をしてこなかったという反省がある」と語った。

 以前から教育サービスをデルに、と望む声がユーザー企業にあったこともあり、サービスは基本的にデルのシステムを導入済みの企業か、導入予定の企業を中心に提供することになる。教育コースで扱う製品などは、同社が扱っているものに限られる(自社製品以外のOSやストレージ、ミドルウェアなども含む)。

 デルが提供する教育サービスと聞けば、誰もが思い浮かべるのは、やはりほかのベンダよりも圧倒的に価格が安い“デルモデル”なのか、ということだろう。それについて渡辺氏は否定する。「ただ、無駄な部分は減らす。教育コースの内容をパーツ(ユニット)化し、それらを組み合わせて提供できるようにする。さらに各企業のシステム導入に合わせた形で教育コースを作っていく」と語る。つまりは、ある程度デルが扱う製品、ソリューションをにらんで教育コースを作っておくが、企業の要望を取り入れカスタマイズにもこたえる。同社としては、カスタマイズしてもさほど高くないと訴える戦略なのだろう。

 さらにデルが力を入れたいとしているのは、システム導入を決める以前のユーザー教育だ。ほかの部門と連携する形になりそうだが、システム導入などに先立って、導入効果をどのように見積もるか、どのようなIT投資をすればいいのか、といったことを、デルが自社のシステム開発などで培ったノウハウなどを基に提供するというもの。それにより、その後のシステム導入や教育コースなどのビジネスにもつなげていく。

(編集局 大内隆良)

[関連リンク]
デルの発表資料

[関連記事]
「小さく生んで、大きく育てる」、デルのプリンタ事業 (@ITNews)
100万円を切るSANストレージで中小を狙う、Dell|EMC (@ITNews)
「標準技術に明るい未来がある」、マイケル・デルCEO (@ITNews)
デルのCIOに聞く、「IT部門の社内地位を向上させるには?」 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)