SOAを根幹に持つHPのアダプティブ・エンタープライズ

2004/7/9

 米ヒューレット・パッカードのManagement Solutions担当CTOのマーク・ポッツ(Mark Potts)氏は、HPが提唱するアダプティブ・エンタープライズにおけるシステムの運用管理について「狙いはシステムのメンテナンスコストと、新規システムの開発コストの比率を逆転することだ」と述べた。サービス指向アーキテクチャ(SOA)についても「サービスデリバリの原則をITマネジメントに適用できる」と述べ、積極的に活用する方針を示した。

米ヒューレット・パッカードのManagement Solutions担当CTOのマーク・ポッツ氏

 企業のIT予算はその半分以上が既存システムのメンテナンスなど運用管理に使われているといわれている。新たなビジネスを生み出す新規システムの開発に割かれる予算は20〜30%程度。ポッツ氏はHPの運用管理ソフトであるOpenViewを使うことで、運用管理コストを削減し、「革新的なサービスを提供する」(ポッツ氏)新システムの開発予算を増やせると説明した。その際の基本になる考えがITとビジネスを同期化し、ビジネス変化に俊敏に対応するシステムを構築するアダプティブ・エンタープライズだ。

 OpenViewが目指す運用管理の理想は、管理をシンプルにして自動化すること。自動化することで運用管理コストの圧迫要因となっている人件費を少なくし、さらにビジネス変化に柔軟、迅速に対応できるようになる。「ビジネスプロセスの観点からITを管理する、ビジネスとしてITを運用することが重要だ」とポッツ氏は訴えた。

 では、アダプティブ・エンタープライズをベースにしたOpenViewの「デザインの原則」とは何だろうか。ポッツ氏は「Modularization」「Integration」「Standardization」「Simplification」の4つを原則として挙げた。ModularizationはITによって提供されるサービスをさまざまなモジュラーのユニットとして考えること。IntegrationはSOAに立脚した運用管理を指す。StandardizationはITILなど運用管理の手法にさまざまな業界標準を採用すること。そしてSimplificationはビジネスモデルやアプリケーションのモデル、インフラのモデルからサービスを定義することだ。

 ポッツ氏はSOAについて「多くの企業で適切に環境を管理し、アプリケーションを開発するために利用されている」と指摘。「SOAで企業が持つマネジメントの能力を統合できる」と述べた。ポッツ氏はHPが2003年に買収した米トーキング・ブロックスの出身。トーキング・ブロックスはSOA技術を持ち、ポッツ氏は同社でCTOを務めていた。トーキング・ブロックスのSOA、Webサービス管理製品はOpenViewに統合された。

 HPはアダプティブ・エンタープライズの実現に向けて、昨年(2003年)から買収を積極的に展開。ほかに認証技術を持つボルチモアテクノロジーズ、プロビジョニング自動化技術のTruLogica、自動運用管理技術のNovadigm、ITサービス・モデリング技術を持つConseraなどを買収した。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本ヒューレット・パッカード

[関連記事]
SOAをうまく採用するための3つの注意点 (@ITNews)
[Interview] CORBAの第一人者が語る"現実的なSOAの推進法" (@ITNews)
いまさら聞けないHPのアダプティブ・エンタープライズ (@ITNews)
ビジネス・プロセスの管理・制御もOpenViewで、HP (@ITNews)
HP新社長が狙う情報システムの"アジリティ" (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)