サーバ好調で1兆円突破、富士通の第1四半期決算

2004/7/30

 富士通が7月29日に発表した2004年度第1四半期(4-6月)の連結決算は、売上高が3年ぶりに1兆円を超えた。ソフトウェア・サービス事業、プラットフォーム事業の収支が改善。会見した富士通の取締役専務(CFO)の小倉正道氏は「IT投資の回復を受け、企業の基幹システム向けのグローバルサーバやUNIXサーバが好調だった」と述べた。

富士通の取締役専務(CFO)の小倉正道氏

 売上高は前年同期比7.4%増の1兆81億円。2003年度に実施したフラッシュメモリ事業などの再編の影響を除くと、13.8%の増収になるという。営業損失は43億円の赤字。依然として赤字だが、前年同期の378億円の赤字からは大きく回復した。経常損失も158億円の赤字だったが、前年同期の551億円の赤字からは改善した。最終赤字は118億円だった。

 事業別ではサーバや通信機器、PC、携帯電話などを含むプラットフォーム事業の回復が目立つ。プラットフォーム事業の売上高は3594億円で、前年同期と比較して15.1%の成長。グローバルサーバやUNIXサーバの好調に加えて、第3世代携帯電話やブロードバンドサービスの普及で携帯基地局や伝送システムが売れた。ハードディスクはノートPC向けが好調で前年同期比46.8%の大幅増となった。

 一方、PCの価格低下の流れなどが影響し、営業損益は70億円の赤字。前年同期の194億円の赤字からは改善したが、富士通全体を引っ張るまでの力強さはまだないのが現状のようだ。

 サービスやシステム・インテグレーションのソフトウェア・サービス事業は、売上高が3845億円で0.3%の微増。営業損失は109億円の赤字で、前年同期の36億円の赤字から悪化した。小倉氏は赤字が拡大した理由としてサービスの価格競争が激化していること、いくつかの開発プロジェクトで採算性が悪化したこと、新規市場開拓やLinuxへの対応などで先行投資がかさんだことなどを挙げた。アウトソーシング事業は好調で、4.1%の増収になった。

 プラットフォーム事業、ソフトウェア・サービス事業と比較すると売上高は小さいが、富士通の中で現在、最も勢いがあるのが電子デバイス事業だ。デジタル家電の急速な普及を受けてロジックICやフラッシュメモリ、プラズマ・ディスプレイ・パネル、LCDなどが大きく伸びた。売上高は前年同期比25.4%増の2039億円となった。営業利益は前年同期比14.3%増の238億円で、4四半期連続の黒字になった。

 2004年度通期の売上高は、富士通の当初の予想通り4兆9500億円で変わらず。経常利益は1200億円、当期純利益は700億円を見込んでいる。

(編集局 垣内郁栄)

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富士通の発表資料

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