なぜ日立、NECはルータ事業を統合したのか?
2004/6/26
日立製作所とNECはハイエンドの基幹系ルータ、スイッチを開発する合弁会社を2004年10月に設立し、両社の事業を統合すると6月25日に発表した。通信キャリアやサービスプロバイダ、大企業、自治体向けに開発を行う。ハイエンドルータは米シスコシステムズやジュニパーネットワークスが世界シェアの大半を握っている。日立製作所の代表執行役 執行役副社長 小野功氏は「世界で戦える商品を作り上げていきたい」と述べた。
日立製作所の代表執行役 執行役副社長 小野功氏(左)とNECの代表取締役副社長 矢野薫氏 |
新会社は日立が60%、NECが40%を出資。資本金は55億円で東京・品川に本社を設立する。従業員は350人を予定し、両社のルータ、スイッチの開発部隊から出向する。出資比率に合わせて日立が約60%の従業員を出向させる。社長は日立側から出す。
新会社は開発、設計に注力し製造は日立側に委託する。親会社の日立、NECは開発されたハイエンド、ミッドレンジルータ、スイッチの供給を受けて、新会社のブランド、またはOEMで販売する。新会社は2004年度内に新製品を出荷。2005年度に売り上げ400億円を達成し、2006年度に単年度黒字に転換するのが目標。現状で12%程度というハイエンドルータの国内シェアを30%にまで押し上げることを目指す。
世界で戦える商品作りを目指すという日立、NECの新会社だが、当面は「国内に重点を置いて展開する」(小野氏)という。海外では中国、韓国などアジアを中心に展開するが、主戦場ともいえる欧米に早期に打って出る計画はない。世界的プレーヤーを目指すよりは、電子政府関連で今後も需要が期待できる自治体など国内の限られたマーケットを、シスコ、ジュニパーに荒らされないために事業を統合するのが狙いのようだ。小野氏は「新会社設立当初から海外展開は考えているが、足場を固めるためにハイエンドルータをまず国内に投入する。きめ細やかケア、対応を提供したい」と述べた。
小野氏は新会社設立の狙いとして、市場のニーズに合わせて迅速に製品を開発できることやアーキテクチャの共通化によるコストの低減などを挙げて「市場に適合した製品を素早く出せる」とアピール。また、NECの代表取締役副社長 矢野薫氏は「両社の技術の蓄積には濃淡があり、それぞれ強み、弱みがある」と述べ、事業統合で両社の強みを生かすことができると主張した。矢野氏は「両社が苦戦している部分を統合することで、マーケットで1番になるのが新会社設立の趣旨」と述べた。
(編集局 垣内郁栄)
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