イベント前にこっそり聞いたシトリックスの将来

2004/10/6

シトリックス・システムズ・ジャパンのマーケティング本部 マーケティングコミュニケーションズ&カスタマーマーケティング 統括マネージャー 小谷敦子氏

 「企業のITシステムの複雑性が一番の問題だ。それを解消できるのがシトリックスのアクセス インフラストラクチャーと確信している」。シトリックス・システムズ・ジャパンのマーケティング本部 マーケティングコミュニケーションズ&カスタマーマーケティング 統括マネージャー 小谷敦子氏は、米国オーランドで10月4日(現地時間)から開催されるシトリックスのエンドユーザー、パートナー向けのイベント「iForum2004」を前にこう語った。

 日本国内の一般的な企業の場合、既存システムの運用管理費がIT予算全体の約7割を占め、会社の競争力を向上させる新規システム開発には3割しか予算を割かれていないという調査結果がある。企業にとってはITシステムの複雑性を排し、運用管理コストを抑えることが課題。シトリックスは“アクセス”という切り口で、ITシステムをシンプルにしようとしている。

 シトリックスのアクセス インフラストラクチャーは、同社の「MetaFrame Presentation Server 3.0」を用いて、企業の基幹系アプリケーションやオフィスアプリケーション、Webアプリケーションを集約し、クライアントに対してそれぞれのアプリケーションのイメージを配信する。クライアント/サーバ型と異なり、必要な処理はサーバ側で実施し、クライアントはその結果だけが配信されるサーバ・ベースド・コンピューティングが特徴。システムの管理者はサーバ側だけを管理するだけでよく、クライアントの管理負担は小さくなる。クライアントのソフトをバーションアップさせる場合もすべてのクライアントにソフトを配布する必要なく、サーバ側をバージョンアップさせればよい。クライアントからサーバへのアクセスは、同社の「MetaFrame Secure Access Manager」を使い、ロールベースでセキュアに管理する。

 アクセス インフラストラクチャーは、いわゆるシンクライアント型のシステムともいえるが、小谷氏は「シンクライアントはシトリックスが考えるクライアントの一部でしかない。通常のクライアントPCのような“ファットクライアント”も対象となる」と説明する。

 シトリックスが使うアクセスという言葉は、1人のユーザーがどのデバイス、どの場所、どのネットワークからでも単一の手段で企業のITシステムに接続し、必要な情報を得られることを指す。シンクライアントでも、ファットクライアントでも同様の手段で、同じ情報を提供するのがシトリックスの考えだ。シトリックスは特にユーザーがどの場所、どのデバイスからでもITシステムにアクセスできるモバイルの機能を今後の製品で強化する方針で、今回のiForum2004でもモバイルへの取り組み強化の発表があるとみられる。

 また、シトリックスはクライアントの運用管理コストの低減だけでなく、サーバを集約させることによるコスト低減効果を今後打ち出すとみられる。米シトリックスは10月4日、米Auremaが持つCPUのロードバランシング技術と、RTO Softwareが持つメモリ最適化の技術のライセンスをそれぞれ取得したと発表した。ユーザー企業はこれらの技術を使うことで、各サーバのリソースを平準化でき、1台のサーバでより多くのクライアントに対応できるようになる。これらの技術は2005年以降に発表される予定のMetaFrame Presentation Server 4.0に搭載される予定。10月5日にiForum2004で行われる同社 社長兼CEO マーク・テンプルトン(Mark B. Templeton)氏の基調講演でも詳細が語られる模様だ。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
シトリックス・システムズ・ジャパン
米シトリックス システムズ

[関連記事]
PCに保存したデータは盗まれても仕方がない? (@ITNews)
高コストの元凶、ITの複雑性をどうする (@ITNews)
「情報システムを整理するアクセスという切り口」、シトリックス (@ITNews)
コスト半分でWindowsを駆逐する、サンのデスクトップ戦略 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)