インフラ構築でジョナサンが要求した3つのこと、米サンCIO

2004/11/9

米サン・マイクロシステムズ CIO ビル・バス氏

 サン・マイクロシステムズのプライベートイベント「Network Computing 2004 Autumn」が11月5日に開催された。今秋のテーマは「セキュリティ&イノベーション」。米サン・マイクロシステムズのCIOであるビル・バス(William Vass)氏が、サンの推進するデスクトップ環境の有効性について講演をした。彼はサン社内のインフラ構築を担当している。

 同社COOのジョナサン・シュワルツ(Jonathan Schwartz)氏が社内インフラの構築においてバス氏に要求したのは「コスト削減」「複雑性の減少」「セキュアな環境の構築」の3点だった。このうち、最後のセキュリティに関しては、「本人確認」「認証」「アクセス制御」の3つのポイントについて厳重な対策を敷くよう要請された。

 バス氏が出した解答は2つ。「Secure Session Mobility」と「Secure Application Mobility」である。つまり、2つのコンセプトに共通するのは、セキュアな環境を確保しながら機動性を重視するインフラを設計することだ。

 前者のコンセプトを具現化する構成要素には「SunRay」「Java Badge」「Broadband」「VoIP」「Windowsとの互換性」がある。ここから、個人情報や環境設定データ、作業データを記録した「Java Smart Card」でローカルストレージを持たないアプライアンス「SunRay」にアクセスするというオフィス環境を想像することができる。オープンソースプロダクトで構成された「Java Desktop System」は、Windows環境との互換性についてもほぼ問題はない。

 デモンストレーションでバス氏は、自分自身のJavaカードを端末に差し込み、プレゼンテーション資料を巨大モニタに映した。壇上には「HOME」「Internet Cafe」「Office」という3つの異なる環境が設置され、それぞれの場所にノートPCやデスクトップPCが置かれていた。バス氏が各端末にJavaカードを挿し、いままで自分が作業していたデスクトップ環境をその都度、各端末で呼び出した。

 これらのシステムはサン社内に導入され、実際に使われている。コストの削減効果については、2万人の従業員に対し、Windows環境(「Windows XP」「Microsoft Office XP」などを利用)を導入した場合と「Java Desktop System」を導入した場合で、「前者が5195万8000ドルかかるのに対し、後者は300万ドルで済む」とバス氏はいう。同様に、デルのデスクトップPCとSunRayクライアントとの価格比較やIBM、デルのサーバとの価格比較なども行い、いかにサンのシステムが安価かを力説した。

 「Secure Application Mobility」というコンセプトは、端末の種類を問わず、つねに同一のコンピューティング環境を実現することを目指す。Javaの影響力はこのコンセプトでは非常に大きく、同社では、携帯電話やデジタル家電といった端末のネットワーク化をも視野に入れた技術の開発に注力している。社内インフラだけではなく、社外インフラとの接続による広義のオフィス環境の構築がCIOに求められるというわけだ。

 サンが考えるデスクトップ環境の背後にはリソースを集中的に管理する社内サーバが存在するが、将来的にはそれらすべてを「N1」と呼ばれるユーティリティ・コンピューティング環境で実現する計画がある。

(編集局 谷古宇浩司)

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