Linux、デスクトップの次は家電、OSDL

2004/11/13

OSDL マーケティング・ディレクターのネルソン・プラット氏

 Open Source Development Labs(OSDL)が今年1月に発表した3つ目のイニシアティブ、「DTL(Desk Top Linux)」が注目を集めている(詳細については「デスクトップLinuxは『N対Mアプローチで』とOSDL」参照)。デスクトップLinuxは、機能をサーバ側で管理する“シン(thin)”な端末を指向するが、より具体的なビジョンとしては、「キヨスク端末や機能を限定したワークステーション(のような端末)を想定している」と、OSDL マーケティング・ディレクターのネルソン・プラット(Nelson Pratt)氏は話す。

 プラット氏はマイクロソフトに対する慎重な対応を崩さず、「デスクトップLinuxはWindows環境を全面的に置き換えることを狙っているわけではない」ことを強調する。「そもそもWindows上で動作する膨大な数のアプリケーション資産をLinuxに移行させることは不可能といっていい」とも。

 デスクトップLinuxが目指すのは、汎用PCクライアントではなく、機能を限定した文字通りのシンクライアントであると考えるのが妥当だろう。Windows環境を導入している企業(従業員)やヘビーモバイルユーザー(WindowsのノートPCユーザー)は、最初からデスクトップLinuxのユーザーとしては想定されていない。プラット氏は「例えば、中国市場を考えたとき、デスクトップLinuxが普及する可能性は高い」とコメントする。「すでにPCが普及している場所(国)ではなく、これからPCが普及し始める場所なら、デスクトップLinuxに限らず、Open Officeといったフリーソフトウェアが積極的に導入されるのではないだろうか」と。

 なお、OSDLの会員企業の多くはエンタープライズ系IT企業がほとんどだが、「Linuxの今後の用途や方向性を考えると、家電メーカーの参加も積極的に働きかけていく必要があるかもしれない」(プラット氏)ということで、セットトップボックスなどにLinuxを採用しているConsumer Electronics Linux Forum(CELF)のような団体との連携を強めていきたい考えを示した。CELFには松下電器産業やソニーが参加しており、現段階で彼らはまだOSDLメンバーではない。

(編集局 谷古宇浩司)

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