スパンション、福島で新型フラッシュメモリを製造

2004/11/19

 富士通と米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)の合弁会社、米スパンションは11月18日、福島県の会津若松工場の敷地内に新工場を設立し、新型のフラッシュメモリ「MirrorBit」の生産を始めると発表した。

米スパンション社長兼CEOのバーランド・カンブー氏

 新工場は、300ミリウエハに対応させる計画。メモリチップはシリコンウエハ上に回路パターンを焼き付けて製造されるが、米スパションは、ウエハの直径を従来の200ミリから300ミリに拡大することで、生産効率を向上させる。

 スパンションが2005年夏に発売を予定するMirrorBitは、「ORNAND」というデータの記憶方法を採用する。フラッシュメモリのデータ記憶方法には、高信頼・組み込み型の「NOR」型と低価格で取り外し可能な「NAND」型の2タイプがある。

 NOR型はスパンション製やインテル製の携帯電話のソフトウェアの実行やOSの保存に利用される。一方のNAND型は、デジタルカメラ用のメモリなど、取り外し可能なチップに利用されている。

 「ORNAND」は、米スパンションが開発した新タイプで、NOR型、NAND型の両方のインターフェイスに対応できるという。既存のNOR型は、1セル当たり2ビットのデータを保存できるが、「ORNAND」は、1セル当たりのデータ保存容量を4ビットにし、メモリ容量を4倍に増やすことが可能だという。

 米スパンションは「ORNAND」型のデータ保存方法を開発し、従来から得意としていた携帯電話や車載通信機器の市場に加えて、デジタルカメラ向けなどの取り外し可能なフラッシュメモリ市場のシェアを獲得していく考えだ。米スパンション社長兼CEOのバーランド・カンブー(Dr.Bartand Cambou)氏は「ORNAND」について「NOR型のコアをNAND型のインターフェイスに適用したことで、フラッシュメモリを使うデバイスのほとんどに利用できる」と述べた。

 カンブー氏はフラッシュメモリ市場について、「1ビット当たりの単価を1円安くすれば、占有シェアも上げられる市場だ。今後はフラッシュメモリを利用する携帯電話や組み込み製品の性能向上に伴い、フラッシュメモリへの期待も大きくなる」と語り、同社が性能・コストともに優れた製品で市場を拡大していくと述べた。

(編集局 富嶋典子)

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