オラクル、デルの協業が拡大、それぞれの思惑は?

2004/11/27

 日本オラクルは11月26日、デルと共同でISV向けの検証センターを開設することを明らかにした。オラクルに登録済みのISVは、顧客に提案するシステム構成をセンターにあるデルのサーバやストレージを使って検証できる。オラクルとデルは2003年9月に提携し、共同で営業活動を始めた。共同の営業活動が一定の成果を生んだことで、その仕組みをISVにも拡大する。

日本オラクルの執行役員 クロスインダストリー統括本部長 三澤智光氏

 オラクルはインターネットを使った営業チャネル「Oracle Direct」の担当者数人をデルの川崎のオフィスに常駐させ、デルの顧客からデータベースに関する質問があった際にすぐに返答やシステムの提案ができるようにしている。

 協業によって、オラクルはアプローチができていない中小規模企業をデルのチャネルを活用して開拓することを期待。逆にデルは、オラクルが強みを持つ大企業向けの営業を共同で行うことで製品の浸透を狙っている。日本オラクルの執行役員 クロスインダストリー統括本部長 三澤智光氏は「デルを通じてオラクル製品の売り上げが伸びている」と成果に自信を見せた。

 デルは「Oracle Database 10g Standard Edition One」をオンラインで販売。「PowerEdge 2650」「PowerEdge 2850」と、「Oracle Real Application Clusters 10g」が利用できるOracle Database 10g Standard Editionを組み合わせたパッケージなどを販売している。デルのエンタープライズ事業本部 ソリューション本部長 多田和之氏はオラクルとの協業について「短期間で大きな成果が出ている。一般企業の4年分くらいの業績が1年であった」と評価した。オラクル製品を組み合わせたデルの案件は、2003年度から年平均250%の伸びだという。

 オラクルとデルは名古屋、大阪、福岡にもOracle Database 10g Standard Editionを検証できるISV向けのセンターを設立する。日本オラクルのクロスインダストリー統括本部 営業推進部 ディレクター 遠藤哲氏によると、名古屋、大阪の検証センターはすでにオープンしているという。

 両社はエンドユーザー向けの取り組みも新たに始める。「Microsoft Access」を使っているユーザーに対して、Oracle Database 10gの「HTML DB」をアピールするプロモーションを12月に始める。HTML DBはデータベースにアクセスするWebアプリケーションを簡単に作成できるツールで、ユーザー部門でもWebアプリケーションを構築し、情報共有ができるとオラクルはアピールしている。「クライアントに実行モジュールが必要なことやセキュリティ、排他制御が十分にできないなど、Accessユーザーが実際に問題としている点をわれわれが解決する。Oracleを十分に活用することでさらなる価値を提供できることをデルと共同で提案したい」(多田氏)。

 オラクルとデルはエンドユーザー向けにサーバやデータベースの設定を簡単に最適化できるツールも提供する予定だ。必要な環境設定を示すガイドラインを用意し、エンドユーザーがそのガイドラインに従って設定すれば、最適の状態でサーバ、データベースを利用できるようにする。また、デルのサーバにOracleデータベースをあらかじめ導入したプリインストールモデルも今後、提供する考え。多田氏は「スタンダードな環境ですぐに使いたいというユーザー向けにいくつかのパターンのプリインストールモデルを用意する」と述べた。

(編集局 垣内郁栄)

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