[Oracle OpenWorld開催]
オラクル次世代アーキテクチャの鍵は「情報」

2004/12/8

 米オラクルは米国サンフランシスコで開催している「Oracle OpenWorld」で、自らを「The Information Company」と位置付けたうえで、企業の情報を統合し活用するための新たな取り組みを行うと発表した。12月6日に講演した米オラクルの取締役社長 チャールズ・フィリップス(Charles Phillips)氏は「企業における毎日の問題を効果的に解決していくための答えは情報しかない」と強調し、オラクルの取り組みを参加者に訴えた。

米オラクルの取締役社長 チャールズ・フィリップス氏

 オラクルがいまになって情報の統合、活用を訴える背景にはシステムの分散化で「異なるデータベース、アプリケーションが使われて、企業の情報がうまく利用されていない」(フィリップス氏)という考えがある。もちろん情報の統合は新しい考えではなく、多くのベンダが訴えているが、本当の意味で「質の高い情報を企業に提供できるのはオラクルだけ」(フィリップス氏)としている。

 オラクルが情報統合に自信を持つのは、具体的な製品をすでに持っていて、本番環境への導入が進んでいるからだ。フィリップス氏が説明したキープロダクトは“情報化時代のアプリケーション”と位置付ける「Oracle E-Business Suite 11i.10」(EBS)と他社の業務アプリケーションやレガシーアプリケーションのデータを統合し、一元管理する「Data Hubs」。それに「Oracle Database 10g」の主要機能となっているグリッド・コンピューティングだ。

 EBSについてフィリップス氏は「情報を企業の1カ所で管理し、その周りにアプリケーションを構築するのが情報化時代のアプリケーションのアーキテクチャ」と指摘したうえで、「最も重要なのは情報の周りに付加価値をつくり、情報を駆動することだ」と述べた。情報の周りに配置するアプリケーションは具体的にはEBSやビジネス・インテリジェンス、オンデマンドサービスなどになる。さらにフィリップス氏は「情報によって駆動されるエンタープライズの条件は、連携、協力、査定、透明性だ」として「情報化時代のアプリケーションはEBSしかない」と訴えた。

 Data Hubsでは、オラクルはすでに「Customer Data Hub」を出荷している。Data Hubsとはさまざまな業務アプリケーションの中心にレポジトリとして設置し、業務アプリケーションの顧客データをリアルタイムに更新しあえるようにするソフトウェア。たとえアプリケーションを別の製品に交換してもData Hubsによって作成したレポジトリは引き続き使うことができ、企業の資産となる。フィリップス氏はData Hubsに続く製品として製品情報を統合する「Product Data Hub」、行政機関が市民の情報を一元管理する「Citizen Data Hub」、経理情報向きの「Financial Consolidation Hub」、金融機関が顧客のローン、クレジット情報などを統合する「Financial Services Accounting Hub」などを開発中で、すでに本番環境でテストしていることを明らかにした。

 グリッド・コンピューティングはこのData Hubsと組み合わせることで「Service Oriented Applications」(サービス指向アプリケーション)のプラットフォームを構築する。グリッドのシンプルな運用管理とリソースのロードバランシング機能が寄与するとフィリップス氏は説明した。また、フィリップス氏はIBMなど他社が展開するグリッドを「何百人ものコンサルタントを導入して構築している。話にならない。自動化が重要だ」と指摘し、「オラクルのグリッドは他社と異なり、リアルワールドのアプリケーションに変更を加えない」と述べた。

 フィリップス氏はEBSやData Hubs、グリッドで構成される次世代のアーキテクチャ「Oracle Information Architecture」を推進するためにパートナーの世界的なプログラム「Architecture of the future Program」を設けると発表した。インテル、デル、ノベル、レッドハットが参加し、世界各地でイベントを開催するという。

 情報を統合し、低コストで柔軟なシステムを構築、運用するためにアーキテクチャやIT基盤を提唱するのはIBMやSAP、国産ベンダに共通する流れだ。オラクルは情報という横軸を設定することで、アーキテクチャにビジネス上の付加価値を持たせようとしているといえる。

(編集局 垣内郁栄)

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