オラクルがMSとイベントを初開催したSOAな理由

2004/11/30

 日本オラクルはマイクロソフトと協力し、.NET環境でのOracle製品の利用やアプリケーション開発を紹介するイベント「Oracle .NET Summit in 東京」(主催:日本オラクル、協力:マイクロソフト)を11月29日に開催した。オラクルとマイクロソフトが協力してイベントを開催するのは国内で初めて。日本オラクルのマーケティング本部 システム製品マーケティング シニアマネージャ 杉崎正之氏は「安心して.NET環境でもOracleを使ってほしい」と述べた。

日本オラクルのマーケティング本部 システム製品マーケティング シニアマネージャ 杉崎正之氏。「Javaだけでなく.NETでもOracleということを理解してほしい」

 杉崎氏は「2005年春にBPEL(Business Process Execution Language for Web Services)に則ったエンジンをOracle Application Serverで提供する。サービスをつなぎ合わせるワークフローエンジンとなる」と明らかにした。オラクルがBPELに期待しているのは、企業内のアプリケーションを統合することによるサービス連携。SOA(サービス指向アーキテクチャ)を視野においている。

 オラクルは2004年10月に発表した「Oracle E-Business Suite(EBS) 11i.10」に、さまざまなアプリケーションの顧客データを統合する「Oracle Customer Data Hub」を組み込んだ。オラクルは今後顧客データだけでなく、さまざまなデータを統合できる「Enterprise Data Hub」を構想している。オラクルではEnterprise Data Hubでさまざまなアプリケーションを連携させ、「SOAを実現する」としている。

 Enterprise Data Hubを実現するにはWebサービスなど「標準的な口が用意されている必要がある」(杉崎氏)。ただ、問題は国内で数多く使われているVisual Basicの過去のバージョンで開発されたアプリケーション。Webサービスに対応しないため、オラクルが想定するEnterprise Data Hubで統合できないのだ。

マイクロソフトのデベロッパーマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長 北川裕康氏。「(オラクルの)赤いロゴの下で話すのはまだ違和感を持っている」と苦笑

 そのためオラクルが訴えているのが、Webサービスに対応したVisual Studio .NETの利用だ。「.NET環境であれば、ビジネスプロセスとワークフローをつなぎ合わせることができる」(杉崎氏)との考えから今回のようなイベントを開催し、啓蒙に努めている。10月18日には、日本オラクルがマイクロソフトの開発者支援プログラム「Visual Studio Industry Partner プログラム」(VSIP)に参加すると発表した。.NET環境でOracle製品を利用する開発者に対して技術情報を提供するとしている。杉崎氏はオラクルがSOAを実現するために「.NETとの連携は非常に注力すべき」と述べ、.NET開発者の支援を約束した。

 同じイベントで講演したマイクロソフトのデベロッパーマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長 北川裕康氏は日本オラクルのVSIP参加について「マイクロソフトとオラクルが初めて契約したケースと聞いている」として「VSIPと.NETを核に両社のパートナーシップを強化していきたい」と述べた。

(編集局 垣内郁栄)

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