「ワークフローの可視化ならUMLよりもBPMN」、日揮情報ソフト

2005/1/15

日揮情報ソフトウェア 常務取締役 岩田アキラ氏

 日揮情報ソフトウェアは1月14日、ビジネスプロセスのモデル化支援ツール「ITPearls Process Modeler for Microsoft Visio Ver.2.0 Standard」日本語版をリリースすると発表した。同ツールはVisioのプラグインとして動作する。ビジネスプロセスに関する標準化団体「BPMI」(Business Process Mamagement Initiative)が公表している表記基準「BPMN1.0」(Business Process Modeling Notation)に準拠していることが最大の特徴。

 ビジネスプロセス(ビジネスのワークフロー)の可視化という問題はIT業界のみならず、ユーザー企業にとっても重大な懸案事項である。開発側にとっては顧客の要求を「開発」するプロセスが可視化の具体的な行動であり、先進的な企業はその記述体系としてUMLを採用している。

 しかし、ビジネスのワークフローの可視化という側面において「UMLは難しすぎるし、十分な対応は期待できない」と日揮情報ソフトウェア 常務取締役 岩田アキラ氏はいう。UMLの場合、ユースケース図で要件を定義し、アクティビティ図に展開することで、ワークフローを記述していくのが一般的なプロセスだが、例えば、(ビジネスプロセスの可視化に関して)UMLのユースケースはアクター間のコミュニケーションを記述する際に不足が生じるなど表現上の問題がある。時系列の要素もない。また、アクティビティ図を詳細に記述していこうとするとどうしてもクラス図も記述する必要がでてくるが、「ビジネスアナリストのような立場の人々にはとても敷居が高い」(岩田氏)。

 一方、BPMNの記述体系はビジネスのワークフローを表現することに特化している。「ワークフローの可視化には、直感的に分かりやすい記述体系が求められる」と東京国際大学 教授 堀内一氏がいうように、BPMNは従来からあるフローチャートの技術体系を拡張したという位置付けの非常にシンプルな記述思想を特徴としている。

 また、BPMNは、Webサービス用の実装言語「BPEL4WS」(Business Process Execution Language for Web Services)の生成を可能にする内部モデルとしても利用でき、「ビジネスプロセスの設計とプロセスの実装間のギャップに標準化されたブリッジを作ることができる」(岩田氏)。さらに、BPMNはモデルの共有化を設計思想に組み込んでいる。BPEL4WSとのマッピングが可能という特徴は、企業間のシステム連携を視野に入れたビジネスプロセスの共有化を目指すものであり、最終的にはSOA(service-oriented architecture)を実現するための要素ともなる。

 国内でモデリングの普及を促進するNPO「UMLモデリング推進協議会」(UMTP)は2005年1月からBPMN研究会を立ち上げる。UMTPの副会長でもある堀内氏は「モデリングをするのに必ずしもUMLである必要はない」とし、組織の名称を変更する可能性も示唆している。

(@IT 谷古宇浩司)

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日揮情報ソフトウェア
UMLモデリング推進協議会

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