[Lotusphere開幕]
Lotus Notes20周年を祝うIBM、次の20年はどうなる?

2005/1/26

 米国フロリダ州オーランドで1月24日(米国時間)に開幕したIBMのイベント「Lotusphere 2005」は、Lotus Notesの20周年を祝うと同時に、IBMにとっての次の20年を見据えたイベントとなった。

 Notes/Dominoはグループウェアの代名詞として、IBMのコラボレーション・ソリューションにとって中心的なブランドだ。しかしこれからのIBMは、次世代コラボレーション環境「IBM Workplace」を前面に出していく。Notes/Dominoは、IBM Workplace構想の下でコラボレーション関連のファミリ製品という位置付けになる。

 IBM WorkplaceはNotes/Dominoのほかに、ポータルを構成する「WebSphere Portal」や、Eclipse上でリッチクライアントを実現する「Workplace Client Technology」などによって構成される。これらの製品ラインやテクノロジは異なるが、コラボレーション環境を提供するという目的の下、IBM Workplaceという1つの傘下に収まることになる。

IBMのロータスソフトウェア ゼネラルマネージャ アンブシュ・ゴヤール氏。「IBM Workplace Client Technologyは、Notes 8のテクノロジとして提供する予定だった。しかし顧客からもっと早く欲しいといわれ、今年の夏までにNotes 7で提供することにした」と語った

 基調講演に登場したIBMのロータスソフトウェア ゼネラルマネージャ アンブシュ・ゴヤール(Ambuj Goyal)氏は、このIBM Workplace構想が「2億人ユーザーを達成するためのロードマップ」の一部だという。現在の同社のユーザーは1億1800万人。2倍近い目標だ。

 ゴヤール氏は、「今後もNotes/Dominoに対する顧客の投資は保護される」とし、過去の互換性を保ったままで製品を進化させることを約束した。Notes/Dominoは今後もバージョンアップによる改善を続けていく。次のバージョンであるNotes/Domino 7は米国で2005年夏に出荷予定。IBM Workplaceの各製品も、基本的にはNotes/Dominoの機能をリッチクライアントとして強化したり、J2EEなどオープンな技術で実装するといったことが中心になっている。「あくまでもNotesプラスだ」(ゴヤール氏)。

 Notes 7では、Eclipseの上でNotesクライアント機能を実現する「Workplace Client Technology」がついに実現する。Eclipseのプラグインとして提供される。また、Domino 7ではパフォーマンスの改善で扱えるユーザー数が8割も向上。Linux版では300%もの性能改善ができたという。開発環境のDomino Designer 7では、WebサービスをDominoのLotusScriptから呼び出して利用でき、Notes上にコンポジット・アプリケーションとして展開できる。

 一方、Webブラウザベースのコラボレーション環境としては、2004年12月に米国で「IBM Workplace Services Express」が発表された。これはWebSphere Portalをベースにした製品で、WebブラウザからNotes/Dominoのようなコラボレーション機能が利用でき、フォームをベースにしたアプリケーションのカスタマイズなども簡単にできる。「30分で導入でき、すぐに使い始められる」(ゴヤール氏)という特徴を持つ、中堅・中小企業向けの製品だ。Expressのフルサービス版ともいえる「Workplace Collaboration Services」も提供される。

 IBM Workplaceの下では、専用クライアントのNotes、リッチクライアントのWorkplace Client Technology、Webブラウザの3種類のクライアントがラインナップされる。サーバはいままでのソフトウェア資産を活用できるDomino、J2EEによるオープンな開発環境が提供されるWebSphereを用意。テクノロジはこのようにさまざまだが、実現されるコラボレーション環境は、いままでNotes/Dominoで提供されてきた機能をコアにした共通のものだ。顧客のシステム環境や開発スキルなどによって、こうしたテクノロジを組み合わせてコラボレーションシステムを構築できる。

 2億人のユーザーを獲得するためにIBMが実現するミッションとして、ゴヤール氏は次のようにまとめた。「地球上のどこにいても、セキュリティや信頼性を心配せずにコラボレーションができること」。

(@IT 新野淳一)

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日本IBM

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