ロータスの新戦略「DominoとJavaを統合します」

2003/8/6

 日本IBMは、ロータスの新戦略として「Linux対応の強化」「J2EEベースのフレームワークの提供」「企業ポータルの推進」を発表し、Notes/Dominoで築いてきた「コラボレーション業界のリーダー」(ロータス事業部長 神戸利文氏)のポジションをさらに強化していくことを明らかにした。

 IBMのソフトウェア事業の中でのロータスの位置付けは、コラボレーション分野の担当だ。今回の発表ではその分野にポータルが含まれることを明確化し、それに伴ってWebSphereファミリだった「WebSphere Portal」の最新バージョン「IBM WebSphere Portal V5.0」を、9月29日にロータスから出荷するとした。

 WebSphere Portal V5.0では、ロールベースの細かいアクセス管理、ポートレットや開発ツールの充実による業務システムとの容易な統合、ポータル上でのテキスト文書やスプレッドシートの編集機能などの機能追加が行われる。さらに、電子会議(Lotus Sametimeと連携)、チームで共有する掲示板(Lotus QuickPlaceと連携)、在席確認(Lotus Sametimeと連携)などのコラボレーション機能も充実させる。

日本IBM 常務執行役員 ソフトウェア事業担当 堀田一芙氏。「大きなスケールでのLinux対応について、問い合わせが増えてきている」と述べた

 ロータスが提供するコラボレーションの中核製品がLotus Dominoだが、Dominoをカスタマイズしたり機能拡張するには、同製品独自のマクロやスクリプトを操作する必要があった。そこで、オープンなJava環境でのコラボレーション機能を実現するため、J2EEベースのフレームワーク「Lotus Workplace」の提供が開始される。J2EEベースにすることでJavaエンジニアによるコラボレーション対応アプリケーション開発が容易になり、またJavaベースのアプリケーションによるソリューションの幅が広がることが期待される。今後ロータスはDominoとLotus Workplaceの両方でコラボレーションコンポーネントの提供を続けていく。Lotus Workplaceは年内に提供開始予定で、提供方法は未定。

 日本IBM 常務執行役員 ソフトウェア事業担当 堀田一芙氏は、多くの企業がLinux採用によるコストダウンなどを検討しているとした。「大きなスケールでのLinux対応について、問い合わせが増えてきている」(堀田氏)。ただし「まだ本格的な導入はこれからのようだ」(神戸氏)というのが現状だ。

 こうした要求へ対応するため、Dominoの次のバージョンである「Domino 6.5」ではLinuxサポートがさらに強化される。従来のRed Hat LinuxやUnited Linuxのサポートに加え、Linux on zSeriesもサポート。「Lotus Enterprise Integrator for Domino」による基幹連携も可能となる。また、Webブラウザ経由でDominoへアクセスする「Lotus iNotes Web Access」も、Linux版のMozillaに対応する予定だ。WebSphere Portal V5.0やWorkplaceも、Linuxサポートを広げるという。

 ロータスにとっては、Notes/Dominoによるコラボレーション分野での成功を、Java/Linuxというオープンな環境でも継続させることが大きな課題だ。神戸氏はその方法を「DominoからJavaへの“移行”は考えていない、“統合”を考えている」と表現した。特に大企業や官公庁といった大規模組織に強いNotes/Dominoにとって、この方法は必然といえるものだろう。

(編集局 新野淳一)

[関連リンク]
日本IBMの発表資料(その1)
日本IBMの発表資料(その2)

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