個人情報保護法が追い風、シトリックスの2005年
2005/1/27
シトリックス・システムズ・ジャパンの代表取締役社長に2005年1月1日付で就任した大古俊輔氏は1月26日、エンタープライズ市場での「Citrix MetaFrame」の拡大を柱とする2005年度の戦略を発表した。日立製作所がMetaFrameを採用し、2004年度内に2000台、2005年度に8000台のシンクライアントを導入する計画を発表するなど、シトリックスは勢いづいている。大古氏は「キープレイヤーとの協業の推進などで2005年度に前年度比20%増の売り上げを達成したい」と語った。
シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長 大古俊輔氏。日本IBMの出身 |
シトリックスの躍進は2005年4月に完全施行される個人情報保護法が追い風になっている。MetaFrameは、アプリケーションやデータをサーバ上に保存し、クライアントはネットワーク経由でサーバにアクセスしてアプリケーション、データを使用する仕組み。データをサーバで一元管理し、クライアントPCにはデータが残らないため、外出先などでPCが盗難に遭っても情報が漏えいする危険が少ない。
シトリックスは2004年、個人情報保護法対策を前面に打ち出してMetaFrameをアピールしてきた。シトリックスの営業本部 本部長 山本勲氏によると、個人情報保護法対策として新たにクライアント数で数千ライセンス規模の発注が何件かあったという。官公庁向けでも近畿地方のある県庁が4000ライセンスを導入した。自治体のMetaFrame導入件数は290件に上るという。
エンタープライズ向けの戦略では、採用する企業を増やすヨコの拡大と、すでに採用している企業の中でMetaFrameの利用率を向上させるタテの拡大の両方を目指す。ヨコの拡大ではERPやCRMを販売、導入するシステム・インテグレータ(SIer)との連携や共同セールスを強化する。シトリックスのコンサルティング部隊も活用し、MetaFrameのメリットをアピールする。シトリックスによると、MetaFrameを採用しているのはTOPIX100に含まれる企業のうち、87社。シトリックスは大手SIerとの協力をばねに大手企業に採用を呼びかける考えだ。
タテの拡大では顧客企業を対象とした製品説明セミナーの開催や、低価格でMetaFrameをバージョンアップできる「Subscription Advantage」の説明で、既存顧客内での利用を部門から全社レベルに広げることを目指す。シトリックスの国内の顧客は9000社あり、全社レベルでの利用が広がることで、シトリックスの売上拡大につながると考えている。大古氏は「MetaFrameが全社のインフラストラクチャとして利用されるようバックアップする態勢をつくっていく」と説明した。「信頼され、リスペクトされるアクセスソリューションベンダとしての地位を確立する」(大古氏)という。
今年はMetaFrameの新バージョンも出荷する予定だ。出荷時期は未定。大古氏は特定ユーザー向けの早期導入やパートナーとの共同検証を行って、新バージョンをスムーズに市場投入する考えを示した。
(@IT 垣内郁栄)
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