次世代の標準? NTTコムウェア「NGN」の狙いは
2005/2/10
NTTコムウェアは2月9日、戦略発表会を行い、同社の課題を説明した。同社が全社で取り組む課題は、次世代基幹ネットワーク用プラットフォームの実現。基盤となるネットワークと次世代のコミュニケーションを実現するアプリケーションやユーザー・インターフェイスの開発がその内容だ。
NTTコムウェア 取締役研究開発部長 加瀬一朗氏 |
次世代基幹ネットワーク用プラットフォームについて、NTTコムウェア 取締役研究開発部長 加瀬一朗氏が説明を行った。同社が取り組むNext Generation Network(以下、NGN)プラットフォームは、国際電気通信連合電気通信標準化部門(ITU-T)において検討される最重要課題で、総務省の依頼により、NTTコムウェアが2004年12月のITU-Tの会合で関連議題の日本代表団団長を務めたという。
NGNプラットフォームは、電話の次のブロードバンド/ユビキタスベースのキラーサービスを実現する次世代ネットワーク構想。加瀬氏はNGNについて「ポストVoIP時代の通信とサービスと一体化したプラットフォームである」と説明した。
NGNプラットフォームはサービス層、シグナリング層、メディア層の3層で構成される。サービス層には、認証サービスやGPSサービス、テレビ会議などのコミュニケーションサービスがあり、シグナリング層にはENUMやDNSなどの名前解決のためのディレクトリサービスが位置づけられる。メディア層には企業や家庭の携帯端末やPCクライアント、サーバをP2Pで通信させるコミュニケーションサーバが必要と考えられているという。
NTTコムウェアでは、NGNプラットフォームを指向したIPコア技術、コミュニケーションサーバ技術、マイクロLinuxサーバを使ったホームゲートウェイ技術の開発に取り組んでいる。IPコア技術では、次世代基幹ネットワーク用プラットフォームのSIPアプリケーションサーバ開発、キャリアグレードのフェイルオーバー、Linuxクラスタ自動管理技術や、高速ネットワークにおけるパケットキャプチャリング技術について取り組んでいるという。
コミュニケーションサーバ開発では、エンタープライズ向けのコミュニケーションサーバ技術としてのメディア統合プラットフォームはすでに開発済みで、IPテレビ電話会議向けの汎用SIPサーバの開発も済んでいるという。同社は、さらにマルチメディア・コラボレーション環境を志向したSIP応用技術を開発中である。
ホームゲートウェイには、家庭向けのLinuxサーバを開発している。子どもの登下校情報の配信や医療データファイル転送、メッシュ型無線LANアクセスポイントなど多様な利用シーンに適用が可能だとしている。
加瀬氏はNGNプラットフォームへの取り組みについて「コンテンツ流通プラットフォームやネットコミュニティ、メディアミックスTVや、ユビキタスIDとAuto-IDに準拠するサービスモデルの実現に取り組んでいる」と語った。NGNプラットフォームの標準化の時期について加瀬氏は「プラットフォームの枠組み自体は2005年6月に標準化が終了する予定だ。競合技術などの問題が生じる可能性もあるが、構想全体の標準化は2〜3年で終了させる計画である」と語った。
(@IT 富嶋典子)
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