「満を持して出す」、EMCがiSCSIに本格参入
2005/2/17
EMCジャパンはSANストレージ製品「EMC CLARiXシリーズ」にiSCSIのサポート機能を追加したと2月16日に発表した。EMCはSymmetrixなどハイエンドのSANストレージ製品はすでにiSCSIをサポート済み。EMCジャパンのコマーシャル・ビジネス事業部 マーケティング本部 本部長 西澤伸樹氏はCLARiXシリーズのiSCSIサポートについて、「われわれがiSCSI製品を上位機種からエントリ機種までそろえたことは、2005年がiSCSIを本番環境で使ってもらうことが可能な年になるということ」と述べ、ストレージ大手のEMCが本格サポートすることでiSCSIの利用が広がるとの認識を示した。
EMCジャパンのコマーシャル・ビジネス事業部 マーケティング本部 本部長 西澤伸樹氏。手前は発表した「CLARiX AX100i」 |
iSCSIは既存のイーサネット用スイッチを利用できるなどファイバチャネルを使ったSANと比較して低コストなのが特徴。OSや運用管理ソフトウェアのサポートも広がり、中堅企業を中心に注目を集めている。EMCが今回発表したiSCSIサポートのCLARiXシリーズも、主に中堅企業をターゲットにしている。
EMCが発表したのは、「CLARiX AX100i」と「CLARiX CX300i」「CLARiX CX500i」の3製品。それぞれファイバチャネル製品のAX100、CX300、CX500をベースにしている。
AX100iはシリアルATAディスクを使用した低価格モデル。2個のギガビット・イーサポートを搭載し、最大で8つのホスト接続に対応する。最大で3TBまで物理容量を拡張できる。ファイバチャネル版と同様にスナップ・ショットの機能やWebベースの管理機能を搭載する。対応するホストはWindows Server 2000/2003。2005年4月以降にLinuxに対応する予定。価格はシングル・コントローラ、500GBの物理容量などで80万円から。2月16日に出荷を開始した。
CX300i、CX500iはATAディスクと、ファイバチャネル対応のディスクが混在可能。4個のギガビット・イーサポートを搭載する。最大物理容量はCX300iが17TB、CX500iが35TB。CX300iが64までホストを接続可能で、CX500iは128までホストに接続できる。ともにWindows Server 2000/2003に対応。2005年4月以降はLinuxもサポートする。CX300i、CX500iともスナップ・ショット、バックアップ/リカバリを行うEMCのソフトウェア「SnapView」が利用できる。CX300iは2005年4月に出荷予定。価格は物理容量365GBの場合で250万円から。CX500iは2月16日に出荷開始で、365GBの物理容量で690万円からとなっている。
AX100iとCLARiX CX300i、CX500iの3製品はEMCとデルの共同ブランド「Dell|EMC」でも近く販売が開始される。
EMCはまたWindows Storage Server 2003を搭載したNASのゲートウェイ「NetWin110 NAS ゲートウェイ」の販売を開始した。ファイルサーバなどを運用する既存のイーサネットを変更することなくネットワークストレージを導入できる。NetWin110はCLARiXシリーズと組み合わせて使うことができ、データベースなどブロックデータを扱うSANと、ファイルデータを使うNASを統合して運用可能。価格は79万5000円から。
AX100iとNetWin110はシーティーシー・エスピーと、EMCが新たに提携を発表したネットワールドが販売する。CLARiX CXシリーズはEMCとEMCの既存の販売パートナーが販売。AX100iとNetWin110を販売するネットワールドのマーケティング本部 取締役本部長 森田晶一氏はAX100iとNetWin110を組み合わせて販売することを説明し、初年度に合わせて10億円、1000台の売り上げを目指すと述べた。
(@IT 垣内郁栄)
[関連リンク]
EMCジャパンの発表資料(CLARiXシリーズ)
EMCジャパンの発表資料(NetWin110)
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