企業内にあるBIツールの数は多過ぎる、ガートナー

2005/2/17

 「ビジネスインテリジェンス(BI)は、見込み顧客の発掘や今後の予測手段だけでなく、企業の意志決定を説明するためにも使える」。ガートナーが主催するイベント「ビジネス・インテリジェンスサミット 2005」で、米ガートナーのリサーチディレクタービル・ホストマン(Bill Hostman)氏は、BIの利用が推進されている理由をこのように説明した。

「市場をリードするのは引き続きBI専業ベンダだろう」ホストマン氏

 ホストマン氏によると、企業内でBIを活用するポイントは、情報の民主化を進めることと、BIツールの標準化だ。「まだ企業の中で知識を活用しようとする文化が広がっていない」とホストマン氏は指摘する。この文化をどう育てていくかが問題だ。

 同氏の提案は、BIコンピテンシセンターを企業内に作ること。「この人たちが部門の壁を破り、知識を共有する文化を作り上げる責任を負っている」(ホストマン氏)。そのため、BIコンピテンシセンターには、ビジネス、テクノロジ、経営の3分野からそれぞれ人を集めて構成することが望ましい。

 もう1つの課題として指摘されたのは、企業内に存在するBIツールの数が多過ぎることだ。社内でBIによるコラボレーションを促進するために、整理統合による「BIツールのポートフォリオ」の作成が必要だという。

 ガートナージャパンのリサーチバイスプレジデント 栗原潔氏は、さらに別の問題として企業内に「高品質のデータ資産」を作り上げる必要があると指摘する。「BIの処理プログラムがいかに正確でも、ゴミを入力すればゴミが出力される」(栗原氏)。

 例えば、顧客を表す「Customer」フィールド1つとっても、経理にとっては請求書の送り先、営業にとっては担当者、配送センターにとっては納品先と、同じ会社であっても解釈が違えば、そこに入力されるデータは異なってくる。こうした違いを埋めていくことが、データ品質を高めることになり、それは「経営上の課題」(栗原氏)だ。

 そのためには、データ品質の低下によってどのようなビジネス上の問題が発生しているか、概算の金額を出してみるべきだと栗原氏はアドバイスする。「データ品質の最大の障害は、このテーマが地味過ぎること」であり、それゆえに経営課題として認識されにくいからだ。

(@IT 新野淳一)

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ガートナー
ビジネス・インテリジェンスサミット 2005

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