IBMはセールスフォース・ドットコムになりたかった?

2005/2/24

 「IT(Information Technology)のT(テクノロジ)に注力している会社は多いが、当社はI(情報)を最重要視した最初の会社である」。これは、セールスフォース・ドットコムが2月23日に開催した記者向け会見において、米セールスフォース・ドットコム 社長のジム・スティール(Jim Steele)氏が語ったことだ。スティール氏は、「テクノロジよりも、プロセスや人を重視することこそが重要である」と繰り返し強調した。

米セールスフォース・ドットコム 社長
ジム・スティール氏

 セールスフォース・ドットコムは、SFA(Sales Force Automation)CRM(Customer Relationship Management)をASP形式で提供する。1999年に設立後、年3回のペースでバージョンアップを繰り返し、新機能追加や機能強化を実施しているという。現在も急成長を続けており、2005年1月末時点では1万3900社、22万7000ユーザーを抱える。2004年第4四半期の売上高は前年同期比82%増の5460万ドル。中でもアジア圏は前年同期比93%の伸びを示したという。日本での売り上げも好調で、2004年の第3四半期から第4四半期にかけて34%成長した。

 同社のサービスの特徴は、統合プラットフォームとして「Sforce 5.0」を提供し、そのうえでユーザーが好きなようにインターフェイスや機能をカスタマイズできる「Customforce.com」を提供。さらに、アプリケーション・モジュールとしてCRMアプリケーション「Salesforce.com」や、顧客管理アプリケーション「Supportforce.com」を提供している点だ。ユーザーは、主にCustomforce.comやSupportforce.comを利用するが、特に重要なのはCustomforce.comで提供しているカスタマイズ機能なのだという。スティール氏はその重要性を「以前提供していたASPサービスは、カスタマイズ機能が弱かったが故に駄目だった。現在のカスタマイズ機能は大変好評を得ている。自分好みにカスタマイズすることにより、Yahoo!やAmazon.comと同等の使いやすさを実現し、“最も使いやすいCRM”といえる」と説明した。

 このように同社は、古くからオンデマンドを実現していると自信を見せており、「シーベルやIBMなどが、CRM分野でオンデマンドを実現しようとしたが失敗している。そういう意味では、当社のようになりたがっているのだろう」(スティール氏)と分析した。今後はさらにカスタマイズ機能を強化していく。セールスフォース・ドットコム 代表取締役社長 宇陀栄次氏は「Customforce.comを利用することにより、ユーザー側で会計や人事、稟議システムを構築できる。今後、さらにこの傾向を強めていき、広がりを持った利用形態をユーザーに促していきたい」と方向性を示した。

 また宇陀氏は、2005年の日本市場の戦略を「大企業と小企業に集中的に販売していく。大手企業へは大手SI、小企業には通信会社や口コミを通してアプローチしていきたい」と語った。

(@IT 大津心)

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