OpenSolarisでLinux対抗を狙うサン、コミュニティの支持は

2005/2/24

 サン・マイクロシステムズのプロダクトマーケティング本部 本部長 纐纈昌嗣氏は2月23日、Solarisのオープンソース版であるOpenSolarisについて、「(Linux対抗かといえば)端的にいってイエス。Linuxが自律的な発展を始めていて、ソフトウェア開発で大きな力となっている。そのトレンドができている以上、われわれも適用していかないといけない」と述べ、Linuxに奪われた顧客や開発者をSolarisのオープンソース化で取り戻したいとの思いをにじませた。

サン・マイクロシステムズのプロダクトマーケティング本部 本部長 纐纈昌嗣氏

 OpenSolarisをLinuxの対抗軸として育成したいというサンの思いは、OpenSolarisのライセンスにも表れている。サンはSolarisのオープン化に合わせて、Common Development and Distribution License(CDDL)というオープンソースライセンスをOpen Source Initiative(OSI)に提案し、認定を受けている。CDDLの特徴はソースコードの改変部分を必ずしも公開しなくてもよいということ。Linuxが採用しているGPL(Generic Public License)ではソフトウェアの派生物のソースコードを原則的にコミュニティに公開する必要がある。纐纈氏は「GPLは大きな問題があるとわれわれは考えている」としたうえで、「(GPLでは)企業の特許が外にさらされることになる。企業ユーザーには仕事がしにくい」と述べた。OpenSolarisは独自に開発した改変部分を非公開にすることで、ソースコードの完全公開を避けたい企業ユーザーを呼び込む狙いがある。

 また、CDDLは、OpenSolarisが後になって訴訟に巻き込まれることがないよう特許訴訟を防ぐ条文を含んでいる。知的財産をめぐってSCOとの訴訟争いに巻き込まれたLinuxとの違いを明確化する狙いがある。纐纈氏は「OpenSolarisに貢献する人の特許の保護と、訴訟にさらされることを防ぐのがCDDLの主旨」と述べた。「サンにとってLinuxはある意味でメモリと同じ。需要があれば部品として組み上げて顧客に提供する。サンは原則としてはSolarisがベストだと思っている」(纐纈氏)。

 OpenSolarisがLinuxに対抗するオープンソースOSとして発展するかは、コミュニティの発展が鍵だ。サンはコミュニティの発展を促進する諮問委員会を組織した。サンの社内外のメンバーが議論してコミュニティの方向性を決める。コミュニティが成熟しない当初は、コミュニティが開発したOpenSolarisのバグ修正や機能強化を、サンがSolarisの開発プロセスに組み込んで、OpenSolarisのソースコードに反映させる。

 コミュニティが成熟してきたら、コミュニティが直接OpenSolarisにバグ修正や機能追加を反映させて、OpenSolarisを開発していく。サンはOpenSolarisをベースに製品版のSolarisを開発し、テストやサポート、ISV/IHVなどの認定に取り組むことになる。「SolarisはOpenSolarisのソースコードから作られたディストリビューションになる」(纐纈氏)というのがコミュニティの最終形態だ。

 サンが理想とするのは、コミュニティによるOpenSolarisの強化で、開発者が増加し、アプリケーション開発が加速、適用システムの拡大、システム、アプリケーションの販売の増大という「オープンソース・エコシステム」の実現だ。ただ、この美しいストーリーがいつ実現するかはまったく未定。纐纈氏は「コミュニティが軌道に乗るまではサンが中心となってしっかりとやる」と述べ、コミュニティのサポートに注力する方針を示した。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
サン・マイクロシステムズ
OpenSolaris.org

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