ソフトウェア開発のさまざまな「ビジネス駆動」
2005/2/25
日本IBM SW事業 ソフトウェア・マーケティング 渡辺隆氏 |
日本のソフトウェア開発の現場では、「driven」を「駆動」と訳し、例えば、テスト駆動開発(Test Driven Development)やモデル駆動開発(Model Driven Development)というように使用する慣習がまかり通っている。駆動とは動力を与えて、動かすことの意だ。昨今のソフトウェア開発の方法に関する議論は、開発作業全体を“何”を動力として展開していくか、ということに集中している。ただし、実際には、これらの言葉が現場に流布(るふ)しているだけで終わってしまうことも少なくなく、現場の開発者が抱える根本的な悩み(徹夜作業がなくならないなど)の解決にはなかなか貢献していないのが実状のようだ。
2004年暮れ辺りから、日本IBMが「ビジネス駆動型開発」を提唱し始めた。要は、ソフトウェア開発という閉じた世界の作業領域を拡大し、顧客の事業全般を情報技術で具現化するための端緒として、(ソフトウェア開発を)位置付け直すということである。このアイデアの具現化はEclipse3.0を基盤としたソフトウェア開発ツール「IBM Software Development Platform」として結実した。
11月4日に発表された時点では、モデリングやテストといった旧ラショナルのソフトウェア開発支援ツールを、Eclipseのプラグインとしてリリースする予定しか明らかにされてはいなかった。しかし、いまでは「開発後の運用・管理もこの基盤上で行えるよう、Tivoliとの連携も可能となっている」(日本IBM SW事業 ソフトウェア・マーケティング 渡辺隆氏)。
「ビジネス駆動」という言葉に含まれる考え方は、IBMに限らず、いまのソフトウェア開発業界には広く浸透しているようだ。3月15日に正式に発足する「要求開発アライアンス」(ReDA:Requirement Development Alliance)でも、“ビジネスドリブンな要求開発を想定”しているという。顧客のビジネスを視覚化するという目的のための標準的な方法を確立するのが同団体の行動目的だが、設立準備会に名を連ねる開発者サイドのスタッフの多くはこれまで、ソフトウェア開発の作業効率を追求する試行錯誤を繰り返してきており、いまに至ってようやくここに行き着いたという感がある。
直接「ビジネス駆動」あるいは「ビジネスドリブン」という言葉を標ぼうしていなくとも、2005年に「Microsoft Visual Studio 2005 Team System」をリリースするマイクロソフトは、Dynamic Systems Initiative(DSI)という概念を発表し、ITシステムのすべての段階(開発、展開から運用)の“面倒を見る”ことを掲げている。このため、従来、マイクロソフトが手をつけていなかったいわゆる“ソフトウェア開発の上流工程”に踏み込む製品とサービスも提供することになる。顧客のビジネスをいかにITシステムに落とし込むかという課題の解決について、いまマイクロソフトは静かに独自の啓蒙活動を展開している。Microsoft Visual Studio 2005 Team Systemはその目的達成のための最大の武器となる。
(@IT 谷古宇浩司)
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日本IBM
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