スパコンが簡単にオフィスに設置できる? ニイウス

2005/2/26

日本に初めて導入されたIBMのスーパーコンピュータ「Blue Gene/L」。発熱量や大きさで他社を上回るという。この筐体には、32個のチップを積んだボードが32枚ささっており、計1024個のチップが稼働している
  ニイウスは2月25日、IBMのスーパーコンピュータ「Blue Gene/L」を商用利用するサービスについて発表した。同社は国内4拠点にBlue Gene/Lを導入し、7月より金融や医療業界向けに特化したサービスを提供する予定だ。

 ニイウスは、1992年に日本IBMと野村総研の合弁会社として設立された会社。従来は、主に金融業界へUNIXサーバの販売を行ったり、金融専業のSEによるサービスを提供していた。しかし、ニイウス 代表取締役会長兼社長 末貞郁夫氏は、「現在、技術的な曲がり角に来ている。従来の販売(ディーラー)業や開発業は斜陽ビジネスだ」と断言。今後の方向性として「このタイミングで戦略転換し、ディーラーからサービス提供者へと変ぼうを遂げたい」と語り、より付加価値と利益率の高い金融/医療分野に特化した業務アプリケーションサービスの提供に今後は力を入れていくと説明した。

 ニイウスでは、従来より米IBM Thomas J. Watson Research Centerと次世代のコンピューティング環境について共同研究を行っており、今回日本で初めてスーパーコンピュータ「Blue Gene/L」を導入した。Blue Gene/Lは現在、東京本社内においてデモと検証のために提供しているだけだが、7月には沖縄県名護市に完成するデータセンタや浦添市にも設置する予定だという。

 実際にはBlue Gene/LとP(ペタ)byte級のメモリ環境、日本IBMと構築したオートノミック・コンピューティングを組み合わせたサービスを提供する。今回導入したBlue Gene/LはCPUを1024チップ搭載したもので、4.61TFlopsを実現するという。末貞氏によると、「通常のビジネスユースであれば、128チップ程度で十分だろう。このレベルだと競合はブレードサーバになる」と説明した。OSは「計算のために最小限に機能を限定したLinuxを使用している」(末貞氏)という。

ニイウス 代表取締役会長兼社長 末貞郁夫氏

 具体的なサービスは、中小の金融機関や病床200床以上の中規模病院を対象に提供する予定。Blue Gene/Lを利用することで、従来はサービス開始時に行っていた要件定義から最適設計、製造、テストまでを含めた「サービスイン」までの運用フェイズを大幅に短縮することが可能だという。「例えば、1.5億円を掛けたプロジェクトの場合、従来は運用フェイズまでコストの50%7500万円を掛けていたものが、20%3000万円で済む可能性が高い」(末貞氏)と語り、コスト削減に自信を見せた。

 末貞氏は、「Blue Gene/Lは発熱量の少なさなどが画期的であり、オフィスに簡単にT(テラ)Flopsを導入できるようになったといっても過言ではないだろう。現在はBlue Gene/L専属SEは10名程度だが、増員していきたい。市場規模は今後3年間で300億円と予測されているが、当社はシェア6〜7%獲得を目指す」と抱負を語った。

(@IT 大津心)

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