技術に左右されるストレージサービス普及の道すじ

2005/3/9

 米IDCのストレージ&データマネジメントサービス プログラムディレクター ダグ・チャンドラー(Doug Chandler)氏は3月8日、IDC Japanが開催したイベント「Japan Storage Vision 2005」で講演し、ストレージ関連サービスの2008年までの年平均成長率が世界で6%になると説明した。

米IDCのストレージ&データマネジメントサービス プログラムディレクター ダグ・チャンドラー氏

 ストレージ関連のサービスはストレージ構築のコンサルティング、インテグレーション、アウトソーシング、サポート/メンテナンスなどを指す。チャンドラー氏によると、このうちで最も成長が期待できるのがストレージのインテグレーションで、8.7%の成長が見込まれるという。ネットワークストレージなど大規模システムの導入が続いているのが要因だ。第2位は7.2%のアウトソーシング。顧客のストレージ環境の管理を一括して引き受けるマネージドサービスが拡大する。

 次いで、コンプライアンス管理やインフォメーション・ライフサイクル管理(ILM)の案件が期待できるコンサルティングが6.6%の成長となる。売り上げ規模では最大と見られるサポート/メンテナンスは3.9%の成長率。地域別ではアジア・パシフィックが8%と高い成長を続ける。アメリカは5.1%、ヨーロッパ・アフリカ諸国は6.6%となっている。アジア・パシフィックのうち、日本は6%の成長が予測されている。

 ベンダ別の売り上げシェア(2004年)ではIBMが20%を占めてトップ。次いでEMC(8%)、ヒューレット・パッカード(5%)、ストレージ・テクノロジー(4%)、ベリタスソフトウェア(3%)の順となっている。ダグ氏はIBMについて「安定成長している。アウトソーシングでストレージサービスを取り込んでいる」と評価。EMCについては「プロフェッショナルサービスへの投資を続けている。またソフトウェアのメンテナンスも拡大している」と説明した。ダグ氏はHP、ベリタスについてもストレージサービスへの投資を拡大していると説明し、業界全体がストレージサービスに注力していることを印象付けた。

 ストレージ技術の進展はストレージサービス市場の今後を左右する。システム構築に高度な技術が必要なファイバチャネル・ストレージではなく、iSCSIなど専門知識がそれほど必要ではないIPベースのストレージ技術が拡大すると、ストレージのインテグレーションに関する高度なサービスは不要になる。また、ストレージの仮想化が普及すると、システムの運用管理が容易になる。そうなればストレージサービスを利用する顧客は少なくなるだろう。

 しかし、中小規模企業でストレージの利用が増えれば、それだけストレージサービスの利用が増える。コンプライアンス対応、ILM対応などは事前のコンサルティングが重要で、ストレージサービスの出番となる。また、ストレージ仮想化技術も導入時にはコンサルティングやインテグレーションが不可欠で、ストレージサービスの市場拡大につながる。ストレージベンダや顧客企業は、技術の進展をにらみながら、ストレージサービスの利用を考える必要があるだろう。

(@IT 垣内郁栄)

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IDC Japan

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