オープンソースDBはSAPで使えるか、5社がMaxDBを検証

2005/4/1

 SAPジャパンや住商情報システムなど5社で構成するSAP/MaxDBコンソーシアムは、SAPのビジネス分析ツール「SAP Business Intelligence」とオープンソースのデータベース「MaxDB」、SUSE Linuxを組み合わせた稼働検証プロジェクトを始めると3月31日に発表した。検証に参加するユーザー企業3社を募集する。

住商情報システムの生産技術センター オープンソース技術チーム長 村田勝之氏。MaxDBなどオープンソースソフトウェアについて「顧客への新しい選択肢としてメニュー化して提供していく」と述べた

 SAP/MaxDBコンソーシアムはSAPジャパン、住商情報システムのほかにビーコンIT、ノベル、日本ヒューレット・パッカードが参加。オープン環境でのSAPアプリケーションの稼働検証を目的に設立され、2004年8月に検証を開始。これまでSAP R/3をSUSE Linux+MaxDBのオープン環境で稼働させる検証を行ってきた。住商情報システムの生産技術センター オープンソース技術チーム長 村田勝之氏は「インストールや日本語環境、パフォーマンスなどSAP R/3とMaxDBを組み合わせたシステムの検証は成功した。今後はユーザー企業を巻き込んで、他のシステムと連携して利用することが多いBIツールを実運用環境で検証する」と述べた。

 MaxDBは1977年にドイツのベルリン工科大学で開発されたデータベースが基になっている。その後、ドイツのSoftware AGが「Adabas D」の名称で販売。SAP AGはSoftware AGと技術提携し、SAP R/3用のデータベースとして開発してきた。1997年からはSAPが開発を引き継ぎ、「SAP DB」の名でリリースしてきた。

 SAPは2000年にSAP DBのソースコードをGNU GPLの下で公開。2003年5月にはSAPとスウェーデンのMySQL ABがクロスライセンス契約を結び、MySQL ABが主に開発、リリースすることになった。名称はSAP DBからMaxDBに変更された。ライセンスは、GNU GPLと商用ライセンスのデュアル・ライセンスモデルを採用している。MySQL ABは将来、オープンソースのデータベース「MySQL」とMaxDBを統合し、「MySQL Enterprise」としてリリースする計画。

 ビーコンITの横浜事業所 技術部 課長 松藤文章氏はMaxDBについて「商用データベースを基にしているため基幹系でも実装可能で、世界で実績がある」と説明。導入時のパラメータ設定が少ない、構築時のテーブルスペースやエクステントの指定が不要、ディスクI/Oの自動バランシング機能などの特徴があり、導入、運用のコストを軽減できると述べた。

 松藤氏によると、SAP DBはSAP/R3のコアデータベースとして世界の約3000サイトで運用中。ほかにオプションとしてインストールされた分を含めると、計5900〜7000サイトにインストールされているという。ただ、国内での導入はこれからで、SAP/MaxDBコンソーシアムの活動を通じて導入企業の拡大を目指す。

(@IT 垣内郁栄)

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