100%のデータ転送を補償する、災害復旧の最新技術

2005/4/12

 日立製作所は4月11日、広域災害に対応したIT基幹システム復旧のための新技術を開発したと発表した。東京〜大阪間など数百キロ離れた都市間でも、災害時に100%のデータバックアップを実現するとともに、従来と比較して40%のデータ転送量で復旧を行う。この技術には、文部科学省が2003年から実施している「e-Society基盤ソフトウェアの総合開発」における研究開発課題「先進的なストレージ技術」(研究代表者:東京大学 喜連川優教授)の研究開発成果を活用している。

 地震が多い日本では、広域災害を想定したITシステムの開発に力を入れている。その有力な手法の1つとして、メインシステムのほかに、遠隔地にバックアップシステムを設置し、災害時にバックアップシステムで業務を継続する「ディザスタリカバリ技術」がある。この技術の存在自体は目新しいものではないが、常に付きまとう問題点がいくつか指摘されていた。すなわち、メインシステムとバックアップシステムの距離が長くなると、同期転送の負荷によってメインシステムの性能を低下させてしまうことや、通信コストが高くつくことなどである。

 今回、日立製作所が発表したITシステムの災害復旧技術は、これらの課題を克服することを目標に開発された。災害時に100%のデータ転送を補償するため、データベースの更新ログだけを同期転送するハイブリッドデータ転送技術を開発し、メインサイトの性能を99%確保しつつ、100%データ転送の補償を実現した。また、データ本体の転送をするかわりに、リモートサイトにコピーされた更新ログを用いて、データ本体を逐次更新するリアルタイムログ適用技術を開発することで、データ通信量を従来の半分以下に削減した。同時に通信コストも約40%削減する。

 これらの災害復旧技術は、同社のデータベース製品「HiRDB」で製品化する予定。

[関連リンク]
日立製作所の発表資料

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