日本でディザスタ・リカバリがダメな理由
2004/8/17
「ディザスタ・リカバリ(DR)のシステムを作るだけで満足するユーザー企業やベンダが多すぎる」。7月にDRの構築支援サービスを発表したベリタスソフトウェアの代表取締役社長 木村裕之氏は、DRをめぐる問題点をこう指摘する。「DRは企業のビジネス・プロセスを把握し、システムの全体最適を考えて守るべきデータのプライオリティをつけないといけない」というのが木村氏の考え。ありもののDRパッケージを導入するだけでは本当に効果があるDRを構築することは不可能と訴える。
ベリタスソフトウェア 代表取締役社長 木村裕之氏 |
ベリタスが始めたDRの構築支援サービスは、コンサルティングファームと協力し、企業の具体的なシステムの現状分析から製品、サービスの導入、その後の保守までを提供する内容。「経営の視点からDRをとらえて企業のビジネスの継続性を保障する」(木村氏)というのがアピールポイントだ。
ベリタスがDRの構築支援サービスを始める背景には、日本でDRが「ほとんど進んでいない」(木村氏)という認識がある。同時多発テロ後に急速にDRの導入が進んだ米国と異なり、日本では「ブームが終わってしまった。特に製造や流通ではほとんど進んでいない」と木村氏は指摘した。
DRが導入されている国内企業でもベンダが用意したDRのパッケージ製品を適用しただけで、「部門単位、プロジェクト単位で導入されていて、全体最適が考えられていない」という。DRは企業のビジネス・プロセスに合わせて守るべきデータの価値を考える必要がある。そのデータの価値は少なくとも企業の四半期ごとに変化する。変化に合わせてDRのプロセスも見直すことが重要だ。これが木村氏の主張であり、これまでのDRに欠けていた点だという。
ベリタスが考えるDR導入のためのテクノロジのポイントは、ヘテロジニアス環境のサポートだ。DRを実現するためのソフトやハードが、限られたベンダの製品しかサポートしないと、そこにデータ保護の断絶が生じる。木村氏がいうように「ヘテロジニアス環境でも同じプロセスでDRを実行できる」のがDRを実現するための最低条件といえる。
しかし、ベンダの多くはヘテロジニアス環境よりも自社製品による囲い込みを狙って、相互運用性がない製品を導入したがる風潮があるのも事実。木村氏は「DRは囲い込みとオープン指向のカルチャーの戦いだ」と強調し、ヘテロジニアス環境のサポートを推進するベリタスの強みを訴えた。
(編集局 垣内郁栄)
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