ブルームCEOが語るベリタス、シマンテック合併の真相
2005/1/21
「ベリタスとシマンテックの合併は、コンシューマ市場からエンタープライズ市場を網羅し、ユーザー企業のIT環境において、デスクトップからデータセンターまでをサポートする戦略に基づく」。米ベリタスソフトウェア 会長兼社長兼CEOのゲーリー・ブルーム(Gary Bloom)氏は、2004年第2四半期に予定するシマンテックとの合併をこう表現し、合併までのいきさつを明らかにした。
米ベリタスソフトウェア会長兼社長兼CEOのゲーリー・ブルーム氏。「ナンバー1同士、それぞれのフィールドでリーダー格を維持していく」と語った |
ブルーム氏とシマンテック CEOのジョン・トンプソン(John Thompson)氏は数年来の知り合いで、両社の将来について話し合うことがたびたびあったという。話し合いの中では、シマンテックの顧客がストレージ管理機能、ベリタスの顧客がセキュリティ強化を求める声が強くあることをお互いが確認。それぞれの顧客のニーズを補完するために両社のパートナー契約や業務提携など話題となった。
ブルーム氏によると合併は、トンプソン氏が「もしもわれわれが合併したら、企業のIT環境に対する重要なセキュリティとストレージの両ニーズをカバーできることになるだろう」と話したのがきっかけ。合併の具体的な準備は2004年9月に始まり、コンサルタント企業を交えての検討がスタートしたという。
合併後の新会社は、ソフトウェア専業のベンダとしてマイクロソフト、オラクル、SAPに次ぐ業界4位の売り上げ規模になる。売り上げは2006年度に約50億ドルを見込んでいる。売り上げのうち75%はエンタープライズ市場、25%をコンシューマ市場から稼ぐ考えだ。
ブルーム氏は、シマンテックとの合併が、人材コストや重複するインフラの削減を目指した合併ではなく、両社の製品でシナジー効果を生み出す戦略合併であると強調した。さらに、「今回のセキュリティ分野とストレージ分野のトップベンダ同士の合併で、今後ソフトウェア業界の整理統合の勢いが増すだろう。ソフトウェア業界の戦略的な整理統合は、いま始まったばかりだ」と述べ、今回の統合が、競争の激しいソフトウェアベンダ業界で勝ち残るための一歩先んじた戦略であることをアピールした。
ブルーム氏は、シナジー効果をもたらすと期待する製品ロードマップの方向性も説明した。説明によると合併会社は、企業にコンピュータ・ウイルスが発生した場合、システムが自動的に復旧し、リカバリに必要な時間を短縮する回復力の高いインフラ製品や、アーカイビングやデータ保護を施す包括的な電子メール管理製品、データ資産の検索や抽出の自動化などを法規制に則った運営ポリシーで管理できる製品を予定しているという。
ブルーム氏は、「両社は統合管理チームを組織し、今後数カ月にわたって合併後の製品ロードマップや開発スケジュールなどの計画を作成していく」と語り、「買収統合に経験をもつ両社は、最も成長の速い大手ソフトウェア企業へと成長するだろう」と自信を見せた。
ベリタスとシマンテックの1月17日(米国時間)の発表によると、両社の統合管理チームの総責任者はベリタスのCFO、エド・ギリス(Ed Gillis)氏が就任。統合管理オフィスを立ち上げ、共同チームを結成して計画の立案に入る。共同チームが取り組む課題として以下の項目を発表した。
- セールス、サービス、ビジネス開発の組織計画
- 事業方針の策定と技術ロードマップの開発
- 合併後の市場戦略の詳細
- サービス/サポート組織の統合
- 財務、インフラストラクチャ、法務関連業務の統合
(@IT 富嶋典子)
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