最後のかけら“プロセス”を見つけたボーランド

2005/4/20

 ボーランドは4月19日、開発プロセスや開発チームの役割を重視したソフトウェア開発プラットフォーム製品「Borland Core SDP(Software Delivery Platform)」を5月18日より出荷開始すると発表した。また、これにあわせてプロセス改善コンサルティングサービスも提供を開始する。

ボーランド CTO パトリック・カーパン氏
 ボーランドは、20年以上前から開発者を支援するソフトウェアを提供してきた。Java開発支援ツール「JBuilder」や管理ツール「StarTeam」が有名だ。同社が新たに掲げた「Software Delivery Optimization(SDO)」は、さらに生産性を高め“ソフトウェア開発を予測可能なビジネスプロセスに変革する”ためのコンセプトだ。SDOを実行することで、コードの記述だけでなく、ビジネス・システム自体を最適化して生産性を上げることができるとしている。

 米ボーランド CTO(最高技術責任者)パトリック・カーパン(Patrick Kerpan)氏は、ソフトウェア開発プロジェクトには、「技術」と「ビジネス」のプレッシャーがかかっていると指摘。技術のプレッシャーは常に最新の技術を要求されるものや、開発期間の短縮などが挙げられる。ビジネスのプレッシャーでは、単価下落や利益率の確保などがあるという。

 カーパン氏は技術的なプレッシャーを軽減する方法として、プロジェクトチームの全メンバーが共通のリポジトリを通じて情報を共有し、各メンバーがツールの垣根を越えて効率的な作業できる環境が重要であると説明した。Core SDPでは、この点を重視して設計したという。

 Core SDPでは、ソフトウェア開発メンバーを役割ごとに「アナリスト」「アーキテクト」「デベロッパー」「テスター」に分類。すべてのメンバーは同じプラットフォームやデータベースを利用し、進行状況などのプロジェクトに関する情報を共有できるようになっている。一方で、役割ごとに必要なデータは異なるため、出力するデータやインターフェイスを役割に応じて変えて効率を向上させている。カーパン氏は、「進ちょく管理機能を有効に利用すれば、ビジネス面のプレッシャーも軽減することができる」と説明した。

ボーランド チーフ・プロセス・オフィサー ビル・カーティス氏
 プロセス改善コンサルティングサービスは、ボーランドが2005年1月に買収したテラクエストのサービスをボーランドが提供するもの。米ボーランド チーフ・プロセス・オフィサー(CPO) ビル・カーティス(Bill Curtis)氏は、SDOに必要な3大要素を「技術」「プロセス」「人材」とし、「ボーランドはいままで技術に関するツールを数多く提供してきた。またセミナーなどで人材育成も行ってきた。しかし、プロセスが欠けていた。テラクエストを買収したことで、この3つの要素がすべてそろったことになる」と強調した。

 プロセス改善コンサルティングサービスでは、「開始」「診断」「計画」「適用」「評価」の流れで進んでいく。中でもカーティス氏は「開始時点における、経営層へのワークショップが一番重要だ。経営層がプロセス改善の必要性・重要性を理解し、全社的に進めていくことが成功の秘訣となる」と説明した。また、同社のプロセス改善コンサルティングサービスは、ITILPMBOK、ISOといった標準を組み合わせて取り組むため、あらゆる業種、業界に有効だという。

 カーティス氏は日本での展開について、「テラクエスト時代にNTTデータやソニーなどで実施した実績がある。今後は、ボーランドのツールを利用しているユーザーが、プロセス改善コンサルティングサービスも利用することで、さらに効率のよいソフトウェア開発を目指してほしい」と語った。

(@IT 大津心)

[関連リンク]
ボーランド報道発表資料

[関連記事]
[Interview]開発者はこんなに怒っているんだ! ボーランド (@ITNews)
開発プロジェクトをビジネスプロセスに変える、ボーランド (@ITNews)
ソフトウェアの展開を最適化する「SDO」 (@ITNews)
「開発者への道しるべを目指す」と米ボーランド (@ITNews)
わずか半年でメジャーバージョンアップする「Borland JBuilder 8」登場 (@ITNews)
ボーランド20周年を飾るのは.NET完全対応のDelphi 8 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)