「2013年までサポート継続」、ピープルソフト決定の背景は

2005/4/20

 オラクルに買収されたピープルソフトの日本法人、日本ピープルソフトは4月19日、オラクルとの製品統合のロードマップを発表した。ピープルソフトは、主に3つの製品ブランドを持っているが、将来的にはオラクルのビジネス・アプリケーションと統合される予定。ただ、ピープルソフトでは「既存製品は最低でも2013年までは現行のサポートを提供する」としていて、オラクル買収によるサポート切れを心配するユーザーの不安を打ち消すことに懸命だ。

米オラクルのエグゼクティブ・バイス・プレジデント アジア・パシフィック統括 デレク・エイチ・ウイリアムズ氏

 米オラクルのエグゼクティブ・バイス・プレジデントでアジア・パシフィック統括のデレク・エイチ・ウイリアムズ(Derek H. Williams)氏は「オラクルはピープルソフト製品をサポートする」と強調。オラクル製品とピープルソフト製品のシェアを合わせるとアジア太平洋で、SAPを抜いて、ほぼ1位になることを説明し、「SAPの顧客でさえもオラクルにアプローチがある。私たちの勢いとナンバー1のポジションが評価されている」と述べた。

 ピープルソフトは3つの製品を持つ。大企業向けのERP「PeopleSoft Enterprise」と、中堅中小企業向けの「JD Edwards EnterpriseOne」(旧PeopleSoft EnterpriseOne)、IBM「iSeries」向けの「JD Edwards World」(旧PeopleSoft World)。

 日本ピープルソフトの執行役員 プロダクト・テクノロジー統括本部長 荻矢隆雄氏は「基本はこれまでのサポートのレベルを完璧に継続すること」と話した。IBM「DB2」や「WebSphere」、BEAシステムズの「WebLogic」などへの対応も続ける。さらにPeopleSoft EnterpriseやJD Edwards EnterpriseOneのサポート期間を1〜2年間延長するなど手厚いサポートを提供する。

 オラクルによるピープルソフトの買収で、ワールドワイドでのサポートスタッフはオラクルが5000人、ピープルソフトが1000人と増強した。日本ピープルソフトは現在、日本語の電話サポートを9時から18時、英語の電話サポートを24時間提供しているが、今後はオラクルのサポートレベルに合わせて、日本語での24時間サポートを提供していくという。「統合によりさらに高い価値を発揮する」という「Better Together」が統合のキーワードとなっている。

 ピープルソフト製品の後継も開発する。PeopleSoft Enterprise、JD Edwards EnterpriseOneについては2006年に次バージョンを出荷予定。JD Edwards Worldはバージョンアップは行わないが、バグフィックスなどのサポートは継続する。製品のバージョンアップは、「これまで顧客が投資したアプリケーションの従来どおりの拡張と、オラクルとの統合製品への第1ステップになる」(荻矢氏)という。

 オラクルは、自社のビジネス・アプリケーション「Oracle E-Business Suite」(EBS)とPeopleSoft Enterprise、JD Edwards EnterpriseOneを統合する「Project Fusion」を進めている。2006年には異なるビジネス・アプリケーションのデータを統合する「データハブ」「トランザクションベース」を出荷する予定。2007年には、ERPの個別アプリーケーションを出荷し、2008年に統合スイート製品を出すことを計画している。荻矢氏は「サービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づく、アプリケーション体系となる。BPELやWebサービスを活用し、SOA時代のアプリケーションの標準を段階的に取り込んでいく」と説明した。

 ただ、日本ピープルソフトと日本オラクルの統合はもうしばらく時間がかかりそうだ。日本オラクルが株式公開をしているため、公正取引委員会の承認がないと法人を統合できないのが理由。現状、日本ピープルソフトは米オラクルの100%子会社で、オラクルのアジアパシフィックが統括している。

(@IT 垣内郁栄)

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