[VERITAS VISION 2005開催]
CEOが関白宣言「企業向けはシマンテックをベリタスがリード」
2005/4/27
米ベリタスソフトウェアは4月25日(米国時間)、サンフランシスコでプライベートイベント「VERITAS VISION 2005」を開催した。基調講演を行ったベリタス 会長兼社長兼CEO ゲイリー・ブルーム(Gary Bloom)氏は、「コストとリスクのバランスが最も重要だ。リスク軽減のためにセキュリティの強化が必要となり、シマンテックとの合併にいたった」と述べ、2004年12月にシマンテックと合意した合併の背景を説明した。
基調講演を行うベリタス 会長兼社長兼CEO ゲイリー・ブルーム氏 |
ブルーム氏は、まず2004年8月に買収したオーストラリアのKVault Software(KVS)について、「従来よりバックアップを提供してきたが、KVSを買収したことによってアーカイブソリューションを手に入れ、一層強固なテクノロジをユーザーに提供できるようになった。データマネジメントでは迅速にデータ回復することが最も重要だ。これはアーカイブとバックアップが融合してこそ可能になる」と説明。研究開発にも売り上げの15〜17%と高い水準で投資し、革新に力を入れていると強調した。
ベリタスの強みとして、ヘテロジニアス環境におけるユーティリティサービスを提供している点を挙げ、「われわれはあらゆる環境でITインフラを提供できる」と述べた。続いて、「CIOが望むものの第1位は『ITコストの削減』で34%、2位が『複雑さの削減』で31%だった」という調査結果を引き合いに出し、この調査結果からもビジネスバリューを上げるためには、コスト削減とユーティリティの向上が必須であると語っている。同氏は「コストとリスクのバランスが重要」と何度も繰り返し強調した。
次に同社の重要テクノロジである「ストレージ」「データ」「サービス」の管理サービスについて説明した。ストレージ管理分野においては、ヘテロジニアス環境において1カ所から50以上のテクノロジを提供できる点は優位だという。データ管理では、KVS買収によって「メールアーカイブとバックアップの融合が実現した」とし、データの早期回復が可能となった。ブルーム氏は、今後の方向性を「特に米国ではコンプライアンスの観点から、電子メールや書類のバックアップだけでなくアーカイブする必要がある」と説明している。サービス管理では、アプリケーションのパフォーマンスを改善することが重要であり、ユーザーもそれを求めているとした。
ビジネス全般についても、従来は紙ベースだった紙幣や契約が、現在では電子情報に置き換わってきていると説明し、「これはわれわれのIT技術がビジネスの中心になってきたのだ」と語った。しかし、IT技術が中心となりサーバやシステムへのアクセスが急増すること=リスクの急増としてはいけないという。IT事業者はアクセスを増やしてこそビジネスの拡大が図れるため、「アクセスを増やしつつ、リスクを減らすことこそ、いま最も必要なことだ」と強調した。ただし、リスクに掛かるコストを増大させたのでは、「コストとリスクのバランス」が崩れてしまう。その点からもセキュリティとの融合が必要であり、ベリタスが持つアベイラビリティとシマンテックが持つセキュリティの融合が求められたと説明した。
「なぜシマンテックとの合併が必要なのか」という問いに対し、ブルーム氏は合併によるメリットをいくつか挙げた。まず、ソフトウェア専業ベンダではマイクロソフト、オラクル、SAPに次ぐ業界4位となり、売り上げが2006年度に約50億ドルまで増加する点を挙げた。この規模拡大を、ブルーム氏は「従来の“インフラ管理のリーダー”から“ITのリーダー”になれる」と説明した。また、ブルーム氏は、「合併が、人材コストや重複するインフラの削減を目指したものではなく、両社の製品でシナジー効果を生み出す戦略合併である」と繰り返し強調した。合併は6月末までに完了する予定だ。
現在の両社の売上比率を見ると、ベリタスが売り上げの75%がエンタープライズ向け、25%がコンシューマ向け、シマンテックが50%ずつだという。この数字から、ブルーム氏は、「エンタープライズは当社に一日の長がある。従って、エンタープライズ向け市場は当社がシマンテックをリードしていく。両社の長所を引き出し、カスタマー重視で行っていくのが基本であり、最も重要なことだ」と語り、両社の今後の方向性を示して講演を締めくくった。
(@IT 大津心)
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