テープのままでディスクアレイ、HPが新ストレージ
2005/5/20
日本ヒューレット・パッカードはミッドレンジ向けストレージの新製品を5月19日に発表した。注目されるのは、アプリケーションなどテープドライブの環境を維持したまま、実際のストレージデバイスとしてはディスクアレイを利用できるようにする「HP StorageWorks Virtual Library System」(以下、VLS)の国内初投入。コストをかけずにバックアップ/リカバリを行いたいが、テープドライブではパフォーマンスや信頼性が不満という顧客をターゲットにする。
VLSはHPが「ニアオンライン」と呼ぶエリアに投入する。ニアオンラインはアクセス頻度は高くないが、必要なときには高速なリカバリが求められるデータを格納する。高速アクセス、高信頼性が求められるハイエンドの「オンライン」と、確実な保存と低コスト性が特徴の「ニアライン」の中間に当たる。HPはこれまでFATA(Fibre Attached Technology Adapted)ディスクを使って大容量、低価格のストレージをニアオンラインのエリアに適用してきた。VLSは従来環境を維持したまま、さらに低価格を追求する製品といえる。
米HPのストレージ・ワークス ディヴィジョン ニアラインストレージ・マーケティング マネジャー カルロス・D・マルチネス氏 |
米HPのストレージ・ワークス ディヴィジョン ニアラインストレージ・マーケティング マネジャー カルロス・D・マルチネス(Carlos Martinez)氏は、VLSの利用が適してる環境として「バックアップアプリケーションがSANとLAN/SANで混在した環境で使用されている場合」と説明した。仮想ストレージにデータを書き込むメディアサーバが4〜6台以上あり、書き込みやリカバリにパフォーマンスが要求されるケースで利用できるとした。マルチネス氏によるとVLSのバックアップ速度は、テープドライブの約10倍。ファイル単位でのリカバリなど柔軟な運用が可能だという。「既存投資を保護したままでSANバックアップをシンプル化する」(マルチネス氏)。
VLSは最大容量6.0TB(物理容量)の「6105」と、12.0TBの「6510」の2モデルを用意。最大スループットは6105が秒225MB、6510が450MB。最小構成価格は6105が367万5000円から、6510が714万円から。6月中旬に出荷する。
HPはミッドレンジ向けSANストレージ「HP StorageWorks Enterprise Virtual Array」(以下、EVA)に新製品「4000」「6000」「8000」を追加した。仮想化技術などストレージの基本的な機能は現行の「3000」「5000」と同じ。パフォーマンスとディスク容量を引き上げた。
4000の最大容量は16.8TB、6000が33.6TB、8000が72.0TB。価格は4000が363万3000円から、6000が678万3000円から、8000が1312万5000円から。6月上旬に出荷する。HPはまた既存製品の3000の価格を最大33%引き下げると発表した。
(@IT 垣内郁栄)
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日本ヒューレット・パッカードの発表資料
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